概要
兄を連れ去ったのは七年前、彼が語った『言い伝え』の残響だったのだろうか
兄の失踪から七年、法律上、彼の死が認められる日が来た。
大好きだった兄の記憶が薄れる中、「僕」の鼓膜にこびりついて離れないのは失踪前夜に彼が語った古びた防空壕にまつわる恐ろしい言い伝えだ。
これは戦後、ある地方の街で起こった猟奇的な殺人事件とその現場に残された謎めいた十字架、そして開けてはならないとされた「黒い革袋」の物語である。
兄が背を向けた左手に握られていたものこそ、その物語の終結、そして兄自身が選んだ「何か」の始まりだったのかもしれない。
大好きだった兄の記憶が薄れる中、「僕」の鼓膜にこびりついて離れないのは失踪前夜に彼が語った古びた防空壕にまつわる恐ろしい言い伝えだ。
これは戦後、ある地方の街で起こった猟奇的な殺人事件とその現場に残された謎めいた十字架、そして開けてはならないとされた「黒い革袋」の物語である。
兄が背を向けた左手に握られていたものこそ、その物語の終結、そして兄自身が選んだ「何か」の始まりだったのかもしれない。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!悍ましい中に妖しい美しさのある、じわじわ効いてくる余韻たっぷりのホラー
家庭でも学校でも問題などかかえていなかったはずの兄が失踪した。
当時の兄と同い年になった「僕」は、失踪前夜に兄が語った不気味な逸話を思い出す。
戦後、「僕」たちの街に現れたという黒ずくめの男、防空壕、十字架、祭壇、黒い革袋――そして凄惨な殺人事件。
あの逸話は何を意味していたのか。
兄はどこへ行ったのか。生きているのか死んでいるのか。
想像力を搔き立てられる、謎と余韻に満ちた、おぞましくもどこか妖しい美しさのあるホラーです。ふとした瞬間に思い出して背筋が寒くなるような――。
戦後の雰囲気や、遺体の描写の生々しさにも感嘆させられます。
お寺の住職さんのキャラクターには人間味があり、この暗鬱な物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!触らぬ神に祟りなし――闇に息づくミステリーホラー
戦時中、円明寺の裏山に掘られた防空壕。戦後七、八年頃の夏、その防空壕跡に乞食のような身なりをした男が住み着いているらしいという風聞が街に広まっていく。
同じ頃、近隣の田畑で作物盗難の被害が出ていたことも踏まえ、街の役人と住職たちはその男が犯人と疑うように。秘密裏のうちに証拠をつかんで、あとは警察に任せようと壕を訪れる。
そのとき、壕に男はいなかった。しかし、カンテラの灯りが照らす漆黒の先――そこには闇に溶ける粗末な十字架が突き立てられた祭壇があった。
十字架にかかる黒い革袋。物々しい禁忌を孕む心理が開けてはならないと警告する。
しかし、そうと分かっていても……
人間の心理を巧みに突いた…続きを読む