その残影は不吉な黄昏のひかりの中に立っていた。左手に何かきらめかせて。
- ★★★ Excellent!!!
七年前にその行方を断った兄。
最後に彼と話したその日、兄が語ってくれたのは、七十年以上も昔にあった、とある話。
そのおぞましさ、謎めかしさ、そして暗さを呑みこんで、最後に見た兄の影は、きっと自分の心のなかの黄昏のなかを歩き去ってゆく……。
読み終えたとき、貴方の心のなかにもその残影が、左手に何かをきらめかせて立っているのかもしれません。