鈴の少女と白い夜

天使の皆様がた、ようこそいらっしゃいました。
皆様にご覧いただきますのは人間と狐族による一世一代の大舞台でございます。

私はまだ、この物語に名を連ねることさえ許されていません。
しかし、彼女を導く使命があることだけは、確かに感じています。

狐族の少女・つばきは、
記憶という名の地図を失ってなお、
願いの輝くこの美しい世界を歩み始めようとしております。

私はまだ手を伸ばすことができません。
彼女に触れることも、声をかけることも叶いません。
けれど、あなた方の光があれば
彼女の旅はきっと美しく続いていくはずです。

どうか天使の皆さま。
舞台に立つための準備をしている私の代わりに、
幕間が訪れるまで、彼女を見守り続けてください。