邪馬台国最後の女王・壱与の愛と覚悟の物語

邪馬台国といえば卑弥呼が有名です。卑弥呼亡き後は男の王が即位するものの国が乱れたため、13歳の壱与が女王となりました。
「魏志倭人伝」による邪馬台国の記述はここまで。壱与は、邪馬台国最後の女王と考えられています。

「そういえば、学校の歴史で壱与が出てきた」と思い出す人はいても、壱与がどういう人物だったのか知らない人がほとんどだと思います。
謎のベールに包まれた、13歳の女王。

この謎に包まれた壱与を、Mayaさんが和風ファンタジーの主人公にしました。
Mayaさんの想像力が遺憾なく発揮されていて、読み応え抜群です。
他国の暗殺者であるナシリとのロマンスあり。女友達との友情あり。女王としての成長あり。
ナシリと惹かれ合うシーンは、読んでいるこちらが恥ずかしくなるほどのキュンキュンさにあふれています。十代の恋が眩しすぎました。
また、戦いを終えた壱与が女王としての覚悟を決めるシーンは感動的。女王としての重圧もあるかとは思うですが、それよりも国を守り、国に生きる人々を守り、愛する人と共に生きたいという強い覚悟に胸を打たれました。

この作品の特徴としては、絶望の未来から「時駆」という術を使って過去に戻ってきた。
滅亡の運命のやり直し、です。
しかし物語は、さらにその先を進んでいくようです。

歴史の教科書で語られることのない壱与が、女王としてどう生きたのか。
ナシリとの恋愛にも興味津々ですが、女王としての壱与の手腕にも要注目です。

その他のおすすめレビュー

遊井そわ香さんの他のおすすめレビュー954