女王卑弥呼が死ぬと径百余歩の範囲に多数の塚を作り、奴婢百余人を殉葬した。 後継者として男王が立った。 ところが男王を不服として国が内乱状態となり、当時千余人が誅殺し合った。改めて卑弥呼の宗女である台与を13歳の女王として立てた結果、倭国は遂に安定した。
この魏志倭人伝の記述が好きでした。
ナシリを失い、国を失いかけている25歳の女王は『時駆ときかけ』を使って、逆行します。
滅びを回避し、邪馬台国とナシリと仲間たちと生き抜くことができるのか。
そんなテーマもさることながら、主人公の壱与が凛として純粋でいいです。
ナシリとの恋の行方も見逃せません。
是非 読んでみてください
感情の機微を捉える繊細さと、物語を力強く動かすストーリーテリングの巧みさは、まさに圧巻の一言に尽きます。
本作の面白さは、古代日本を舞台にしながらも、現代にも通じる普遍的な葛藤を描き出している点にあります。特にヒロイン・壱与の運命をめぐる大胆な史実の再解釈には驚かされました。「もしも邪馬台国が……」という、歴史のifに真っ向から挑む作者様の挑戦的な筆致に、知的な興奮が止まりません。
特筆すべきは、少女アケビの成長物語です。自分の感情を剥き出しにして叫んでいた彼女が、敵王であるヒクナに対しても慈悲の心を抱くようになる——。その純粋すぎるまでの博愛精神は、殺伐とした戦乱の世界において、一点の光のような神々しさを放っています。
また、タイムリープという要素が「主人公の無双」のためではなく、「抗えない運命の奔流」を強調するために使われている点も非常にユニークです。自らの意志を超えて、世界が必然的に塗り替えられていくような、不思議な宿命論を感じさせる展開には鳥肌が立ちました。
「圧倒的な文章力と、鮮やかなキャラクター造形が織りなす極上のエンターテインメント」 歴史の枠組みを超えて、魂を揺さぶるようなドラマを求めているすべての人に捧げたい、珠玉の一作です。
主人公は邪馬台国の女王、壱与。
邪馬台国の女王、卑弥呼の後継者として指名された彼女が、その後を描いた物語です。
話の骨格はタイムリープを使い過去に戻った壱与が故郷と最愛の人を守るために歴史を変えようとする……、という話ですが、
本作はタイムリープによる未来の知識というアドバンテージでどうにかするというより、
歴史を変えるために周辺国の人々との関わりをどう変えていくのか?という壱与の選択と、それによって影響を受ける人々の姿を丁寧に描いてくれています。
そのため、タイムリープものというより壮大な大河ドラマをみているような読後感がありました。
ただ、同時に進んでいくナシリとの恋の進展の方では、ただの恋する少女のかわいらしくて甘酸っぱい壱与が見れます。
二部完了時点まで読んでいるのですが、三部で完結とのことなので、
未来は変えられるのか。ナシリとの恋はどうなるのか。
最後まで見届けたいです。
転生は簡単に行えません。冒頭部からのスタートは間違いなく炎と血に塗れたバッドエンド。しかし、それを女王の特権で使える「時駆」により最悪の結末を塗り替える為に壱与は再び時を駆ける。
とにかく短い地の文に込められた情景と感情の流れが怒涛のように押し寄せてくるので次に進むページを止められない。
空気、風、血の匂い、汗、炎、水、気。
そして五感を最大限まで揺さぶってくる映像で浮かぶような筆力。
戦場シーンはアクションバトルばりの臨場感。
壱与とナシリのそれぞれの視点で繰り広げられる一人称視点にドキドキ。
本当に台詞のないふっとしたシーンひとつに胸がきゅんとなったり、ハラハラしたり忙しい。
第一部ラストのシーンは鳥肌ものです。ここまで拝読させて頂き言葉が出ませんでした。これをタダで読めるのか…おいしい。
しかし物語は非常に複雑。
それなのに、読者のために迷子にならないよう視点の調整と、シーンの順番が迷子にならないようにちりばめられている。ほっとするシーン、戦闘シーン、ヒリヒリするシーン、恋愛パート。ここでこれを持ってくるか…!!と唸ります。
この世界観で難しい設定を矛盾なく綴っていくプロの手法、たった一度きりの時駆で壱与がどのような結末を迎えるのか、序盤からもうわくわくが止まりません。
時駆とは。
ただナシリに会いたい、ではなく、ナシリが生きているだけではだめだ。
彼女はもう一度邪馬台国を血のない世界にするために、仲間たちと今日も駆ける。
戦う主人公壱与、成長していく彼女を全力で応援したい。
これからも非常に楽しみな作品です。
邪馬台国の滅亡。
物語は、いきなり壮絶な状況から幕を開ける。
『時駆』の力で過去に戻った壱与。
最愛の人を守るため、彼女は避けられない運命に立ち向かっていく。
「誰かを守るという選択が――
何を奪い、何を残すのか」
残酷な状況の中で、人の強さと儚さが鮮明に描かれていく。
情景描写も鮮やかで、文章がリズム良く、物語の世界に心地よく浸れます。
その一方で――
ナシリには「壱与を暗殺する」という、
あまりにも過酷な使命が隠されていたのです。
二人の運命は、果たしてどこへ辿り着くのか。
壮大なロマンスを味わいたい方に、
ぜひおすすめしたい物語です!
「もし、あなたが“滅びる未来”を知っていたら、
誰を救い、誰を選び、どこまで戦わずにいられるだろうか。」
この物語は、未来を知る少女・壱与が、
血にまみれた運命を変えるために過去へ戻るところから始まる。
だが彼女を待っていたのは、英雄譚でも都合のいい奇跡でもない。
選び直すたびに命が失われ、守ろうとするほど、傷は深くなる。
本来は敵であり、彼女を殺すはずだった暗殺者・ナシリ。
彼が壱与を選んだ瞬間から、この物語は「勝つための戦」ではなく
「誰も死なせないための苦しい選択」を描き始める。
重く、残酷で、それでも優しい。
剣を振るう理由、涙をこらえる理由、夜を越える理由が、
一話ごとに胸へ積み重なっていく。
読後に残るのは爽快感ではない。
けれどページを閉じたあと、
「この先を見届けずにはいられない」という感情だけが、確かに残る。
静かな覚悟と、血を拒む祈りの物語。
これは、滅びを知った者たちが、それでも未来を諦めなかった記録だ。