概要
記憶の大半を失い、五歳の体に変わり果てた『少年』に、一人の子供が飴を差し出してくる。
真っ白な髪に不思議な瞳。怯えながら通い続けるその子もまた、一人ぼっちだった。
飴を分け、パンを半分こし、名前も知らないまま「一緒に外へ出よう」と手を伸ばす。
しかし、ここには子供を外に逃がさない仕組みがあった。
子供は少年を助けるために力を使い、
少年は自分を置いて行けという子供を連れて、
命がけの脱出に挑む。
その結果、子供が沢山のものを失ってしまうなんて
思いもしなかった。
名前を聞くことすらできなかった少年は、やがて誓う。
「お前の『勇者《ヒーロー》』になるって決めた」
これは一人の少年が、たった一人の子供を救うために世界に立ち向かう話。
※A
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!不思議すぎる世界で二人、小さな約束で結ばれる。
《第3章前半でのレビューになります》
このお話は、『不思議』で満ちています。
異世界転生っぽい要素はあるのですが、魔王が出てくるわけでもなく、壮大な冒険の旅に出るわけでもない。
むしろ『閉じ込められている』という印象を受けますね。
メインキャラである少年と子供も、2章になるまで名前がなく、それがとても不思議でした。
まさに謎が謎を呼ぶ展開。
どうやらこの世界では女尊男卑のようですが、この『性別』が大きな鍵になるのだと思われます。
ただ、この閉塞的な空間の中でも2人の距離は縮まったり、また離れたりと人間らしい成長を果たしているのが心温まるポイント。
だからこそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嘘から始まる勇者の約束
読み進めるうちに、少年と子供の距離が少しずつ近づいていく感覚に引き込まれました。
暗く閉ざされた場所で始まる物語なのに、二人のやり取りが空気を確かに動かしていくのが印象的です。
特に、名前を思い出せない場面や小さな会話の積み重ねが、人物の不安や優しさを静かに浮かび上がらせていました。
食事や会話の何気ない場面が、世界の残酷さと同時に人の温度を感じさせてくれるのも魅力です。
そして危機の場面で見せる少年の決断が、物語の芯をぐっと強くしています。
派手な展開だけに頼らず、関係性の変化で読者を先へ進ませる構成がとても好みでした。
世界の仕組みや「神力」の存在も、先を知りたくなる形で提示さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!記憶を失った二人の、奇妙な共犯関係
とても印象的な導入でした。
記憶を失った子供に対して、「自分は君を知っている」と語る少年。
しかしその少年自身もまた、自分の名前すら思い出せない。
互いを証明するはずの存在が、どちらも確かな記憶を持っていない。
その歪な関係が、静かな不安とともに物語の軸になっているのがとても面白い構造だと思いました。
特に印象に残ったのは、子供の
「ここ、安心する」
という言葉です。
未知の森であるはずの場所に安心を覚えるという違和感が、この世界の秘密をほのかに示しているようで、読者の想像を刺激します。
さらに、植物が異常な速度で成長し、古い命が新しい命へ場所を「明け渡す」描写。
この環境その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不思議で満ち溢れた純異世界物語
私たちが住む世界とは、「全く異なる世界」に迷い込んだ少年の物語です。
読み進めていると、薄暗く、霧深い森の中に入って行くような不気味さを感じました。
しかし、主人公の優しさが、その不気味な道を照らす光のように見えました。
主人公は転生者ですが、チート能力や、魔法なども獲得していません。
容姿が整ったただの子供です。前世の記憶も大半を失っており、自分の名前さえ思い出せません。
そんな彼が出会ったのは、真っ白な容姿の美しくて儚げな子供。
その子供と出会ったことで、物語は動き出します。
とても雰囲気のある物語です。
第一章は、色の少ない静かな世界という印象でした。主人公と白い…続きを読む