概要
星空が美しい牢獄で、一人暮らしていた子供を連れ出した。その怯えた手が、飴を一粒くれたから。
助けてくれたから、助けたかった。
結果――その子供はめちゃくちゃになった。
【詳しいあらすじ】
目が覚めると、檻の中だった。
記憶の大半を失い、名前も思い出せないまま五歳ほどの体に変わり果てた『少年』は、飢えに苦しんでいた。
そこに現れたのは、真っ白な子供。
白銀の瞳の中に虹色の星屑を宿す、息を呑むほどに美しいその子供は、言葉少なにランタンを一つ差し出してくる。
少年に怯えながらも通い続ける、その子もまた一人ぼっちだった。
飢えに苦しむ少年に小さな飴を差し出し、やがて始まる交流はパンを分け合い、名前も知らないまま「一緒に外へ出よう」と手を伸ばすまでになる。
しかし――ここには
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!嘘から始まる勇者の約束
読み進めるうちに、少年と子供の距離が少しずつ近づいていく感覚に引き込まれました。
暗く閉ざされた場所で始まる物語なのに、二人のやり取りが空気を確かに動かしていくのが印象的です。
特に、名前を思い出せない場面や小さな会話の積み重ねが、人物の不安や優しさを静かに浮かび上がらせていました。
食事や会話の何気ない場面が、世界の残酷さと同時に人の温度を感じさせてくれるのも魅力です。
そして危機の場面で見せる少年の決断が、物語の芯をぐっと強くしています。
派手な展開だけに頼らず、関係性の変化で読者を先へ進ませる構成がとても好みでした。
世界の仕組みや「神力」の存在も、先を知りたくなる形で提示さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!記憶を失った二人の、奇妙な共犯関係
とても印象的な導入でした。
記憶を失った子供に対して、「自分は君を知っている」と語る少年。
しかしその少年自身もまた、自分の名前すら思い出せない。
互いを証明するはずの存在が、どちらも確かな記憶を持っていない。
その歪な関係が、静かな不安とともに物語の軸になっているのがとても面白い構造だと思いました。
特に印象に残ったのは、子供の
「ここ、安心する」
という言葉です。
未知の森であるはずの場所に安心を覚えるという違和感が、この世界の秘密をほのかに示しているようで、読者の想像を刺激します。
さらに、植物が異常な速度で成長し、古い命が新しい命へ場所を「明け渡す」描写。
この環境その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不思議で満ち溢れた純異世界物語
私たちが住む世界とは、「全く異なる世界」に迷い込んだ少年の物語です。
読み進めていると、薄暗く、霧深い森の中に入って行くような不気味さを感じました。
しかし、主人公の優しさが、その不気味な道を照らす光のように見えました。
主人公は転生者ですが、チート能力や、魔法なども獲得していません。
容姿が整ったただの子供です。前世の記憶も大半を失っており、自分の名前さえ思い出せません。
そんな彼が出会ったのは、真っ白な容姿の美しくて儚げな子供。
その子供と出会ったことで、物語は動き出します。
とても雰囲気のある物語です。
第一章は、色の少ない静かな世界という印象でした。主人公と白い…続きを読む