少年の成長と希望の物語
- ★★★ Excellent!!!
心理描写も丁寧で、静かで詩のような描写が入り混じる……とても不思議な感じのする小説です。
ダークな雰囲気が、少しだけ緊張感を漂わせています。
しかし、その物語はとても哲学的で、少し難解です。例えば主人公以外の人には見えない白い子供が登場しますが、彼はなぜ見えないという設定になっているのか。私たちも、自分と無関係なことや興味のないものは、視界に入っていても見えていないことが良くあります。そういう誰もが持つ視点を、物語のキャラクターとして象徴的に登場させているのでしょうか。
そう考えた時、なぜ、タイトルが「嘘吐き勇者よ。死んではならない」なのか?という疑問が湧いてきました。この牢屋で目覚めた自分の名前や役割をしらない主人公の、本当の役割はきっと勇者なのでしょう。おそらく、社会からは魔王を倒すことを期待されたりしていたのかもしれない。また、それを果たせず嘘つきと呼ばれていたのかもしれない。
誰かに投獄されたのか。思い出したくもないようなひどい目に遭って、記憶を失ったのかもしれない。それは死にたいと思うような出来事なのかもしれない。だから、彼がもし記憶が戻った時どうなるのかとても気になります。
でも、今はそんなことを考えながら読むべきではないかもしれないですね。今はこの少しダークな味付けの、詩的で不思議な世界を楽しみながら読んでみたいと思います。そして物語の結末の後で、不思議な物語の構造について考えたいと思いました。