概要
「抜け出してみせる。この絶望の底から、“次”こそは」
「大好きな友達が死んだんだよ。しかも、2人も。それで十分だったの。あたしが死んだ理由なんて」
動物霊、妖怪、神……それらを自分に憑依させ、それぞれ異なる能力を使うことができる種族、異憑(いつき)。
世界人口の大部分を異憑が占めるこの世界において、それができない種族は無憑(むつき)と呼ばれ、時には差別や冷遇を受けることもある。
それが、この世界の常識。
平凡な女子大生として暮らすエルはその無憑であり、彼女もそんな"常識"の被害者だった。
その中でいつしか笑顔の作り方すら忘れてしまったエルだったが、それでも今は冷遇とは程遠い平穏と幸せを享受していた。
大切な友人たちの死を知らされ、失意と絶望のまま自殺を選ぶまでは。
しかし、死んだはずのエルは目を覚ました。何故か自殺す
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!絶望を掻い潜り、少女は一縷の光に手を伸ばす
この世界ではふたつの人種が存在する。
動物の霊、妖怪、そして神を自分に纏い、異能力を使える『異憑』と呼ばれる者達と、反してなんの能力も持たない『無憑』と呼ばれる者達。
主人公、エルはそんな無憑の健気な少女でありながら、この異能の世界の常識に囚われて笑顔を失くしてしまった人物である。
そんな彼女にも心を許せる友人が複数人居た。
切っても切り離せない過去に偶に苦しめられながらも、そんな友人達と過ごす日々はかけがえもなく楽しい。
彼らと過ごしていればいつか、いつか笑顔を取り戻せるのではないかと、光に手を伸ばしかけた時、事件は起きる。
突然の決別、そして絶望。
明るい世界から反転、地獄のような…続きを読む - ★★★ Excellent!!!呪い呪われた未来をその手で変えていけ!
『希望』の2文字は、いくつもの解釈ができる。
ふつうの解釈では『こいねがいのぞむ』。
その一方『おぼろげなものをとおくにみる』とも解ける。
この作品は、その2つを併せ持つようにみえる。
主人公エルの置かれた境遇は、過酷なものだ。
多くの人類が異能力を持つことが当たり前の世界。
そこで、エルは異能力を持たない者として生まれてきた。
社会からは差別され、家族からは虐待される。
そんな主人公が得た大学生活という、かりそめの平和。
安全な時間。自分だけの空間。心暖かな友人。
そして――主人公と同じ、異能を持たない青年・海老原。
しかし、運命はエルを逃さない。
魂まで凍えるような泥中に、エル…続きを読む