概要
そこにあるダイド洞は龍の墓所でもあった。墓所を代々守り継ぐ家に生まれた娘、イヲ。世界の終わりのような隔絶されたその土地で、イヲは祖父や母たちのように寂しく生きていくのだと思っていた。
ある日、ダイド洞に忽然と現れたのは、傷だらけの謎多き男。
男との出会いが、イヲを縛る業と因習の鎖を、そして閉ざされた運命を、予想もしない方へと変えていく。
イヲの孤独な瞳に映る「浮天」とは――
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!登場人物の細かな動きまでが生々しい人間ドラマ!
毎話毎話くっきりと描かれるそれぞれの登場人物の描写がすごく好きです。
本当にこの物語のそれぞれのキャラの目線でリアルに体験してないと書けないんじゃないか、という細かい描写が魅力的で、それによりこちら側にも物語の詳細が手に取るように伝わってきます。
なんというか、リアリティーが凄くあるんですよね。色んなキャラが出てきて、それぞれの思惑もあって、思考が移り変わっていく様が見事だし、本当に面白いです。
文章も本当に綺麗で羨ましい……。佐子さんのような文才が欲しい……。いや、じゃなくて。
文章が綺麗でとても読みやすいです。美しいです!
それに加えて、15万字と読みやすいサイズだし、是非ともラ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あとから見え方まで変わる物語
因習ものが好き。身分差のある恋も好き。人の思惑が絡み合って、あとから見え方まで変わる物語はもっと好き。
そんな方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。
因習という言葉が、これほど似合う物語はありません。
けれど、そこで受け継がれてきたものは、ただ古くて悪いものとしては描かれません。
閉ざされた土地で、墓守として生きてきた少女イヲ。
物語のはじまりは、とても素朴です。
外の世界をほとんど知らないイヲの日々と、土地に残る古い伝承。
けれど、彼女が外へ踏み出したことで、その小さかった世界は少しずつ広がっていきます。
私は、読み進めるうちに、それまで見えていたものが少し違って見えてくる物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人の業を、人間の大きさで描く。息遣いまで聞こえる物語
因習の地で、鳥はまだ知らない空を見上げる
旧大陸の秘地・彼岸埜。龍の墓所を守る家に生まれ、閉ざされた土地で孤独に暮らすイヲの運命は、傷だらけの謎多き男、沙郷との出会いから大きく動き始めます。
佐子八万季様の文章には、異国文学の翻訳作品を思わせる独特の間と余白があります。すべてを説明しきらない言葉の向こうから、ざらついた土の感触や潮を含んだ湿度、因習に覆われた土地の息苦しさまでもが伝わってくる。読み進めるうちに情景が鮮やかな映像となって立ち上がり、そこにいる人々の息遣いまで聞こえるようでした。
登場人物も、物語を動かすための記号ではありません。善意の中に無神経さがあり、愛情の傍らに欲や嫉…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋と伝説と宮廷劇と謎が謎を呼ぶミステリー
この作品は、作者の佐子さんの真骨頂が詰まった作品です。
「ダイド洞は龍の墓所でもあった」
墓所を代々守り継ぐ家に生まれた娘、イヲは二人の美しい王子たちと出会い、運命を翻弄されていくのです。
恋と謎と宮廷劇。
愛憎渦巻く因縁の物語――複雑に絡み合う運命の行く末は?
続きが待ち遠しくて、更新されるや飛びついて読んでいます。
佐子さんは、私の憧れの作家さんです。
登場人物の心情描写がとにかく繊細なのです。
心細い人は心細いように、胸弾む恋は柔らかく初々しく。
泥のような執着も、一人で立つとき、骨身に染みる風も。
まるで絵画の描写のように手に取るようにわかります。
その視線は分け隔てな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かで前向きな少女の成長譚
隔絶された土地「彼岸埜(ひがんの)」で祖父母と暮らしてきた少女イヲの物語は、序盤から暮らし模様が丁寧に描かれていきます。
古い因習や貧しさに縛られる暮らしが緻密に浮き上がり、その描写は本当に物語の世界にいるかのような心地になりました。
そんな中、砂利浜で倒れていた謎の男「サザト」と触れ合うことで、物語は大きく動き始めます。
本作の魅力は、風景がとても丁寧に描かれていること。
読みながら、砂嵐や港の匂いが届いてくる。
育ちの影響もあり肯定感の低いイヲが、少しずつ変わっていく姿は胸を打つものがあります。
なにより素朴で誠実な姿が魅力的で、つい応援したい気持ちになる。
高貴な雰囲気の…続きを読む