この作品は、日本神話や古代の伝承を、地名や地形、神社の由緒などと照らし合わせながら、その奥に隠された歴史を探っていく歴史ミステリーです。
特に印象的だったのが、神功皇后にまつわる長すぎる妊娠期間や、身重では現実的とは思えない移動など、伝承に残された数字や矛盾そのものを手掛かりとして読み解いていくところです。神話をただ不思議な物語として受け入れるのではなく、「なぜこの形で伝えられたのか」と考えていく構成に知的な面白さを感じました。
また、歴史の中で名前を失った神が、自分に仕えていた神使からさえ忘れられてしまう場面も印象的です。史料から名前が消えることを、単なる歴史上の謎ではなく、存在そのものが忘れられていく寂しさとして描いているところに惹かれました。
単なる日本神話を題材にしたファンタジーではなく、土地に残された小さな痕跡を一つずつ拾いながら、失われた人々の記憶を辿っていくところが、この作品の大きな魅力だと思います。
序盤までの紹介となりますが、弥沙とハルたちが神話の奥に隠された名前と真実をどこまで辿っていくのか、これからも追いかけて行きたいと思います
神話×謎解き。それが軸に本作は進んでいきます。しかし、本作における謎解きは従来に当てはまる謎解きではありません。神話における通説を少しずつ紐解いていくというのが、本作における謎解きになります。
本作はまず出だしが素晴らしいですね。かつて奈良に存在していた湖が、緑深き森が生き生きと見事に描写されています。そのシーンがあまりにも写実的で、幻想的で本当に素晴らしかったです。一気に引き込まれてしまいました。
勿論、本作の骨子になっている神話の要素へのアプローチも素晴らしいです。丁寧に調査し、検証していることが伺えます。
これは本筋に関係のない話ですが、私自身が歴史が好き+神話などの民俗学に少なからず興味があって一度こういったテーマを据えた作品を書こうとしたこうとしたことがありました。尤も、調べることの多さと時代考証の問題にぶつかって断念していますが。
それ故に本作への物語の最後に列挙されている数多の参考資料の数々、神々の家系図を記載した近況ノート、各パートの最後に記載されているまとめからも本作への熱量と作品への誠実さが伝わってきます。
神話とは、非常に面白い。表面で語られる物語も、裏面に沈む物語も……。
本作で語られる結末がどのような形を持つのか楽しみです!!
邪馬台国はどこにあったのか──
その問いに、考古学だけでは届かない領域がある。
本作は、古社に残る伝承、社家の秘録、そして『神功皇后の謎』をはじめとする膨大な史料を横断し、神話に散りばめられた“暗号”を一つずつ読み解いていく壮大な歴史ミステリーだ。
浦島太郎、天女の羽衣、かぐや姫。
誰もが知る物語が、神々の歴史へと繋がる伏線だったとしたら──
天照、卑弥呼、神功皇后。
彼女たちが歴史から消されなければならなかった理由が、物語の進行とともに輪郭を持ち始める。
毎夜悪夢にうなされる弥沙の前に現れた白猫・ハル。
導かれるまま辿り着いたのは、正史から消された“日本神話の現場”。
夢の青年が「久しぶり」と微笑んだ意味、『高良玉垂宮神秘書』に秘められた記憶──
それらが一つの線で結ばれたとき、読者は歴史観の転覆を体験する。
神話が隠し、歴史が恐れた真実の愛の記録。
神功皇后推しの著者が、現地を歩き、文献を読み解き、独自の歴史解釈を物語として再構築した渾身の一作。
“二柱の天照”というタイトルが示す意味に気づいた瞬間、あなたの中の日本史は静かに書き換わる。
不思議な夢にうなされる少女・弥沙。
そんな彼女の前に一匹の白猫・ハルが現れます。
こうして弥沙は、歴史の影に隠された「本当の正史」を巡る壮大な冒険へと足を踏み入れていく――そんな歴史ロマンあふれる作品です✨️
本作最大の魅力は、私たちが当たり前だと思ってきた歴史認識を大胆な視点で覆してくれるところです。
「えっ、そうだったの!?」と驚かされる場面が次々と登場しますが、それが単なる荒唐無稽な空想ではありません。
神功皇后の長すぎる妊娠期間や、当時としてはあまりにも短期間で完成した水路建設など、歴史に残る数々の矛盾点を丁寧に取り上げ、それらを一つの物語として結び付けていくため、「なるほど、そういう見方もあるのか!」と何度も興奮させられました✨️
さらに、「天照=卑弥呼」説や『かぐや姫』など、日本神話や昔話との繋がりにも触れられていくとのことで、これからどんな真実が明かされていくのか、今からとても楽しみです✨️
歴史がひっくり返る瞬間をその目に焼き付けよ✨️
奈良に巨大な湖があった――そんな印象的な一文から始まる物語に、最初から引き込まれました!
古代の奈良を思わせる幻想的な風景から一転、空を飛ぶ巨大な船や一つ目の怪物が登場し、一体何が起きているのかとワクワクしながら読み進めました。特に、謎の男が弥沙に「久しぶりだね」と語りかける場面は、二人の間に何か特別な因縁があることを感じさせて、とても気になります。
そして、緊迫した場面での「……ロボット?」には思わずクスッとしました(笑)。重厚で神秘的な雰囲気の中に、こうした現代的な感覚が入ってくるのも面白いですね。
夢の正体や謎の本、そして弥沙がこれから向かう場所で何が待っているのか。歴史や神話を感じさせる要素も多く、続きが気になる作品です!
非常に興味深い考察と、壮大でロマンあふれる物語が、一人の少女を通して織り成されます。
私的な話で恐縮ですが、生まれてから二十歳くらいまでを福岡県で過ごしました。私も歴史が好きで(これほど詳しく調べるようなことはありませんでしたが)、遺跡や神社に足を運んでは夢想に耽っていた少女時代を思い出し、近況ノートに挙げられている写真などを拝見しながら主人公の旅路に思いを馳せ、胸に募る思いに思わず涙が溢れました。
参考資料の明記なども明確で、ご自身で撮影されたのであろう写真の添付も興味深く、物語の体裁が取られてはおりますが研究書としても興味深いです。
私はまだ1章しか読めておりませんが、この先を楽しみに読ませていただきたいと思います。
とても素敵な物語をありがとうございます。
物語は、奈良の巨大な湖や空飛ぶ船という、衝撃的な悪夢から始まります。
主人公の弥沙(みさ)は、ありふれた女子学生の19歳。彼女は人間の言葉を話す白猫のハルや、不思議に光る古書に導かれ、地元・福岡の那珂川(なかがわ)に眠る「奴国(なこく)の記憶」へと足を踏み入れていきます。
本作の面白さは、単なるファンタジーにとどまらない圧倒的なリアリティです。
緻密な地域描写とSF的な謎が見事に融合し、ページをめくるたびに足元の常識が音を立てて崩れていくような知的興奮に満ちています。
『日本書紀』の矛盾や、「武内宿禰は青年だった」という謎の証言。実在する地名や地形のパズルが解き明かされるたび、私たちが信じていた「通説」が音を立てて崩れていく快感は鳥肌ものです。
神功皇后や武内宿禰といった歴史上の人物たちが、泥にまみれながら泥臭く生きた「血の通った人間」として生き生きと蘇ります。
これは、土地の泥と水が千八百年守り続けてきた、血の通った神々への鎮魂歌であり、歴史の常識を覆す壮大な「夜明け」の物語。
未知なる古代の熱狂を、ぜひその目で目撃して下さい!
【レビューコンテスト応募】
本作は、まず、タイトルに痺れます。
かっこよすぎます。
内容は、ただの「前世もの」とは一線を画す奥深さに魂が揺さぶられます。
白猫のハルや不思議な本に導かれていく導入や、冠の青年との再会シーンなど、登場人物たちの魂が反応し合う描写が非常に美しく、胸が熱くなる筆力をお持ちの作者さまです。
作者様の手腕はそれだけでなく、不思議な没入感を作り上げることに成功しており、読み進めるほどに、主人公たちと一緒に、古代の日本を旅しているような一体感を得ることができます。
そして、難解になりがちな古代史や記紀の神話の解説を物語の中に自然に落とし込んでおり、作者様の神話への造詣の深さがそのまま作品の奥行を作り出しています。
不思議な白猫に導かれた少女が、各地の神社伝承や歴史の違和感を紐解き、1800年の時を超えて「二柱の天照」と邪馬台国の封印された真実へと迫る、知的興奮と情熱に満ちた壮大な歴史伝奇ミステリー。
タイトルに痺れた方は是非そのままお読みいただければと思います。
おすすめいたします。