本作は、クラス転移ものでありながら、主人公はメインではなく、「表舞台のヒーローを裏から輝かせるための舞台装置を作る」という参謀役に徹する、という珠玉のオリジナリティを発揮しています。
作者様の手腕としては、その知力ドラマの筆力です。
WEB小説のトレンドに一石を投じるかのように、正面からの無双ではなく、地道に、情報を集め、相手の思惑を汲み、誘導していく、いわばピカレスク(悪漢・暗躍)的な構成を、丁寧にまとめ上げておられます。
その結果、表と裏の対比を見事に描いており、作品に奥行が生まれています。
そんな、知的な暗躍劇、是非おすすめいたします。
容姿端麗で文武両道、絵に描いたような「主人公」天堂晃司。しかし実は、その腰巾着とみられていた都築裕也こそが晃司を主人公に仕立て上げた仕掛け人だったこの主従逆転の構図が、王道の異世界召喚譚を一気に異色のものへと変えている。
裕也と相棒・武村エリだけが異なる場所へ召喚され、古の工房という圧倒的な力の源泉を手にする展開から、「魔王さえも踏み台にする」というスケールの大きいピカレスク・ストーリーが幕を開ける。表の主人公ではなく、主人公を成立させる裏側の視点というのが新鮮で、晃司との関係に滲む信頼と執着の入り混じった独特の温度が、単なる親友関係を超えた深みを物語に与えている。
連載中、全71話・23万字超とすでに読み応えのあるボリューム。「裏から世界を統べる」という野心がどこまで広がるのか、先が気になって仕方ない一作だ。