紙ヒコーキに思いを託せ――。

 主人公の「私」こと細田美玲は容姿だけでモテまくり、単純な男たちから度々告白されることにうんざりしていた。

 そんな中、羽崎という男子が告白してくる。最初は有象無象と同じ奴なのかと思ったが……。

 羽崎は「君の字が綺麗だから手紙の送り合いをしたい」と申し出てきます。想定外の告白に衝撃を受ける美玲。世にも不思議な二人の文通が幕を開けます。

 やはり「小説」と「手紙」は物凄く相性がいいなと感じさせられました。羽崎から送られてくる手紙をあたかも美玲になったような気持ちで読みふけってしまいました。

 以前の作品『しりとり告白』とタイトルは似ているものの、描かれる恋模様のテイストは全く異なっています。いつものことですが、引き出しの多さに戦きました。

 お題「手」に寄せて書かれた本作。本作には「手」で書かないと伝わらないこともある、という大きなメッセージが込められています。

 インターネットが完全に普及した現代。LINEやDiscordで気軽に会話をすることが当たり前。メールすら個人の連絡にはあまり使わないのに、ましてや「手紙」を書く機会など大きく減ってしまいました。

 それでも「手」で書くからこそ生まれる情感もある。手の震えや消しゴムで何度も書き直した跡から伝わってくる相手の気持ち。そういう我々が過去に忘れ去ってしまった感覚が如実に表現されていて素敵でした。

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