去っていくもの、芽吹いてくるもの

10年共に暮らした恋人が去ってしまった。
主人公は仕事をしながら漫画家を目指していたが、1週間前失業してしまったのだ。

恋人は夢を応援してくれていたが、生活は豊かではなかった。
すでに我慢に我慢を重ねていたのだろう。

これから自分にのしかかってくるであろう、無職の夢追い人を支えなければならない重圧に、耐えられなかったのかもしれない。



そんな主人公の元に、「めでとう」の妖精(何と呼べば良いかわからない存在なのでこのように呼ばせてもらう)がきた。

仕事を失い、恋人を失った自分に、吉報を知らせに。



ほんの少しの時間の差だった。
もしすぐにその知らせに気が付いていたら、こっそりと原稿を封筒に入れ、応募してくれた恋人の静かな優しさに報いることができただろうか?
恋人は去らずにいてくれただろうか?

これまでの2人に、そしてこれからの主人公にいろんな思いを馳せてしまう。

人生、ハッピーエンドかは生きてみないとわからない。
だが少なくとも、主人公の中では何かが芽吹き始めたのだ。
それがやがて蕾をつけ、花開きますようにと願わずにはいられない。

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