『喜び』がもたらす『空白』と、それでも芽吹いていく確かな希望

 主人公の内面を想像して、ものすごく感情が揺さぶられました。

 大切な人に一週間前に去られてしまい、世界から全ての色が消えたかのように感じている主人公。
 でも、そんな日常の中にふと変化が起こる。

 これまで漫画の賞に応募するも落選を続け、信じることも難しくなっていた。それでも、たしかにそこには「足跡」というものがあって……。

 この感じは、小説でも漫画でも「いつかは世に出たい」と思っている方には強く沁みる内容ではないでしょうか。
 一体いつになったら芽が出るかわからない。自分の実力だけの問題ではなく、運や巡り合わせの問題は確実に出てくる。そんな中で努力だけ続けねばならない中で、心だけは確実にすり減っていく。

 そして、時が経てば経つほど、自分自身を巡る環境も変わってしまう。
 「芽吹きの瞬間」が訪れれば、きっと嬉しいには違いない。でも、「もっと早く」となっていたら、その喜びだってもっと大きかったかもしれない。
 喜びを味わう一方で、喪失や空白も意識させられることもある。

 そんな心の揺れ動きが、痛いほどに伝わってきました。でも、寂しさだけでは終わらない。これまでに歩んできた「たしかなもの」は確実にある。
 そんな切なさと力強さを感じさせてくれる、鮮烈な印象を持った作品でした。

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