ほとんどのお話が、スクロールなしで読める。それほどまでに短い。そしてその短い中で、起から結が予想を超えてくる。時にそれは不条理で、時にそれは奇妙で奇怪。まさにタイトルの「常ならぬ話たち」。個人的なおすすめは、10話くらいにある「天気の話」から読むことだ。比較的とすっと入ってきやすい奇譚から読み始めることができる。どこから読んでも良いので、ぜひ読んで欲しい。
ページを開くと、そのせいぜい半分程度しか文字が埋まっていない。かるく驚かされながら、そしてその短い文章を覗きこんでみると、そこには不条理にして奇怪な世界の広がりが。次々と目に飛び込んでくる不可思議な世界に蹂躙されるこの感覚。ぜひとも、ご自分の目を蹂躙されてみてください。
たしかに「常」ではないことを信条としている物語には違いないです。短い中、淡々とした身のこなしの中にある、毒とも刃物とも言えない「形のない何か」が、私にはっきり視えていて、それがとても怖く、迫ってきては何もせずに去っていく姿を、無性に追いかけていきたくなる。私は「近鉄バッファローズを求めて」「事故物件」が好きでした。もう読んだら後戻りできない、その手の小説ですね……。