第一皇子・ルカの出会った、少女フィアナが持つ力は、『天気を操る力』でした。
それは国を温暖で豊かにし、平和な世界を実現するとともに、海も風も操っては人々を巻き込み、大量殺戮すらできてしまう力でもありました。
豊かになった国の裏にいる、天気を操れる少女の存在。
それが飢えに苦しむ隣国にバレてしまったら、彼女を巡った争いが起こるのも避けられなかった事かもしれません。ですが、そんな国同士の争いが起きた時にフィアナがしたこととは……
彼女の苦悩と、その罪をも、全て受け入れ包み込んでくれるルカ王子。
とても考えさせられるお話であるとともに、彼らの今後の幸せを願わずにいられません。
素敵なお話を、ありがとうございました。
どんなものでも、使い方次第で善にも悪にもなる。そんな事実がすごく鮮明に描き出された作品でした。
フィアナには幼い頃から「天気を操る」という特別な力があった。それで自分の望む形に雨を降らせたり晴れにしたりという変化を引き出すことができた。
やがて、彼女にはルカという友達ができる。幼かった二人は一緒に遊べる環境を作れるよう、雨をやむようにしたりして、ただ楽しく日々を過ごしていた。
あくまでも子供らしく、「小さな魔法」みたいにして、その頃は無邪気にその力を使っていた。
でも、「天気を操れる」というのは、これまでの歴史の中でも多くの人々が渇望するようなものでもあった。
天候次第で食糧難が起こることもあるし、それで王朝が滅びるようなことさえ珍しくなかった。
そんな生き死にに直結する「天気」を操るというのは、それはもう実質的に神の所業みたいなもの。当然「世の中のバランスの崩す」ものにもなってしまう。
フィアナはあくまで、ルカと一緒の時間を作るためとか、人々の生活が豊かになるようにとか、平和のためにだけ天気を操ってきた。
けれど、その力はあまりにも大きすぎた。フィアナがその気になれば、世界全部をどうにかしてしまうことだって可能なほどに。
幼かった時代の終わり。人が年齢を重ねていくことで、「望むもの」が変化していく。「天気」というものを通し、「大人になるにつれて願いや価値観が変化していくこと」などがありありと描写されていくことになります。
魔法や奇跡と、成長や純真さなど。色々なテーマを考えさせられる一作でした。
海に囲まれた島国のようでございます。
そこには、天から与えられた才能を持つ少女がおりました。
天気を、操ることができるのだそうです。
これは確かに、ほぼチート能力と言っていいものではないでしょうか?
作物も育ち、隣国からの敵襲は防げるわけですので。
しかし、そんな能力を持つ彼女ならではの苦悩はやはりついて回るのです。
才能を持つものの永遠の宿命とも言えるのか、
相手の望んでいるものが、果たして自分なのか、自分の才能なのかがわからなくなるんですな。
いやこれが単なるビジネスパートナーであるなら割り切ればいいんでしょうよ。
そうもいかない関係の場合、相手の言葉をどれくらい信じて受け入れられるでしょう?
そして、自分の気持ちをも持て余すほどの力を持ってしまっている主人公。
天候を操れるのです。大勢の人間の、生殺与奪を握っているようなものです。
それゆえの孤独もあるのです。
持ってしまったものの、業と幸せ。
ぜひ、ご一読を。