兄は天下を選び、弟は情を選んだ――源氏、哀切の真実。

史実の重さを真正面から抱えつつ、感情の温度を丁寧に掬い上げた好篇。
義経は天才である前に不器用な男、頼朝は冷酷である前に兄だった。
その当たり前を、静と弁慶という名バイプレイヤーが泣かせに来る。
笑える余地は少ないが、弁慶の過剰忠義だけは少し可笑しい。
重くて優しく、読後に胸が静かに痛む、真っ直ぐな物語。

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