源頼朝と義経の、それぞれの『素顔』
はる❀
第一話 義経追討の宣旨
「源義経を殺せ」
後白河法皇が『頼朝追討の宣旨』を取り下げ、『義経追討の宣旨』を出したのは一一八五年。壇ノ浦の波間に平家を沈め、天下に源氏の勝鬨が轟いた、その年。平家を滅ぼしたその立役者こそが――本追討令の対象、源義経である。
「鎌倉殿も……本当に良いのですか。あれは血を分けた、実の弟君にございますれば……」
近臣の遠慮がちな声に、源氏の棟梁・
「良い。見つけ次第、首を刎ねよ」
かつて、平家打倒という共通の悲願を抱き、奥州からはるばる駆けつけた義経。
誰よりも兄に忠義を尽くし、誰よりも兄のためにと戦場を駆けた、戦の天才。
そんな、兄にすべてを捧げた弟と、その首を落とせと命じる兄。
実の弟を迷いなく討てと命じる頼朝は非道だと、誰もがそう言うかもしれない。
だが……果たして本当にそれだけだったのか。 武士の世を創ったその冷たい仮面の下に隠された素顔に、血が通った一面は、本当になかったのだろうか。
源頼朝と義経の、それぞれの『素顔』 はる❀ @Haru_AveMaria
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