概要
人は生まれながらにして祝福の恩恵を授かる。
傷は癒え、病は遠ざかり、老いはゆるやかにしか訪れない。
そして、長く、穏やかに、千年の時を生きる。
だが、あまりにも長すぎる命は、やがて生きる意味を薄れさせ、世界は静かに停滞していく。
その停滞を打ち破ろうと動いたのは、皮肉にも反政府勢力だった。
『祝福は毒であり、魂を腐らせる』
その思想のもと、都市を破壊し、魔物を解き放ち、安寧を貪る人々への粛清を続けていく。
混迷の時代。
ついに、世界政府たる祝福律議会《エルメトア》は新たな英雄を求め、星導機関《アストラル・フェイン》を創設する。
少女アメリアン=フロステルもまた、世界の未来を担う英雄候補として選ばれる。
だが、そこは才能を育む学び舎などではなかった。
祈
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- ★★★ Excellent!!!透明な余韻――静かに壊れていく、一人の少女の物語
祝福者と無祝者が存在する世界。
祝福に満ちたその均衡の中で、無祝者だけが臨界感覚に至るという構造が、まずとても印象的でした。
祝福者と無祝者の間にある差別や対立構造もよく練られていて、斬新に感じます。
主人公アメリアンは、星導機関に送られ、過酷な運命の中に置かれていきます。
その背景にあるのが、祝福者でありながら臨界感覚に到達したルシアンの“沈黙”。
彼の選択が遠くで歪み、アメリアンに悲劇を生んでいく構図に、強い皮肉さを感じました。
友を失い、身体の一部を失い、心までも削られていく。
それでも臨界へと至る過程と、その後に残る歪んだ憎悪。
ルシアンの贖罪とすれ違いも含めて、ただの成長譚では…続きを読む - ★★★ Excellent!!!【レビュー】凍りついた心の残響——なぜ『セリオネア』に惹かれるのか
この物語が描くのは、英雄の成功譚などではない。一人の少女、アメリアン=フロステルが、世界という巨大な装置によって「解体」され、再構築されていく過程を淡々と、しかし残酷なほど美しく追いかけた記録だ。
「祝福」が義務づけられた完璧な世界において、アメリアンの挫折はあってはならない汚点だった。私たちが目にするのは、彼女の絶望が本人さえ知らないところで政治的に利用され、神々しい「聖女」という名の偶像へ作り替えられていく不気味なまでの鮮やかさだ。
大聖堂を照らす眩い光と、彼女の胸の奥で静かに燃え続ける漆黒の炎。そのコントラストがあまりに強く、読者は彼女の白銀の瞳から目を離すことができなくなる。「救…続きを読む - ★★★ Excellent!!!死の足音こそが力となる
強い渇望もなく勇者の育成機関に入学した主人公が、生をあきらめぬことで力に目覚めていく異世界ファンタジー作品です。
主人公は勇者の育成機関に入学が叶った少女。
しかし、元から彼女に強い入学希望はなく、好意を抱いた少年が志望したからこそ受けたにすぎません。
少年は落ち、少女は受かった。そこから始まったのは、教育とは名ばかりの心身への拷問。
世界は女神の祝福によって、緩やかに衰退していく。
けれど、それを是としない破壊者によって、文明への殺戮が起こっている。
勇者に求められるのは、破壊者を破壊するほどの力。
祝福を授かった者には滅多に現れない破壊の力。
多くを失いながらも、主人公は…続きを読む