静まり返った校舎というありふれた舞台設定から、物語は静かに、しかし確実に狂い始めていく。
学園の閉塞感と異界化。
ここでは夜十時から朝六時まで、決して一人になってはならない。
光を返さない不思議な霧。少し遅れて聞こえるチャイム。
時計の針の刻む1秒間でさえ、ここでは信用できない。
顔のない絵は誰かが居ないことを暗示する。
点呼を取り、ようやく誰かが居ないことに気がつく。
影が半歩遅れて付いてくる。
監視カメラの死角は何も起こらない場所ではなく、情報の欠けている場所。
日常が少しずつ違和感を増す。
違和感を増すたびに、人が消える。
ここでは決して一人になってはならない。
さもないと、命を以て芸術を知ることになる。
けれど一人にならなかったから無事である保証は、どこにもないのだ。