戦争だけでは終わらず、政治や権力、人々の思惑が複雑に絡み合う世界観に、自然と引き込まれました。
公開処刑の場面では、民衆が扇動され、真実を叫ぶ声がかき消されていく様子に胸が締めつけられます。そして、その余韻が残る間もなく起こる領主暗殺事件。一つの出来事が終わるたびに新たな謎が生まれ、「次はどうなるんだろう」と夢中になってページをめくっていました。
カリュースとリーディスの関係性も、この作品の大きな魅力だと感じます。互いを信頼し合う姿はもちろん、酔ったカリュースをリーディスが支える場面や、緊迫した状況の中でも少し笑えるやり取りがあり、シリアス一辺倒にならず心地よいテンポで読み進められました。だからこそ、事件が起きた時の緊張感や不穏な空気がより際立って感じられます。
また、敵味方を単純な善悪で描いていない点も印象的でした。それぞれに立場や信念があり、その積み重ねが物語に厚みを与えています。世界そのものが生きているように感じられ、今後どのように物語が広がっていくのか、とても楽しみになりました。
プロフィールを拝見し、この作品が17歳の頃に書き上げられたものだと知り、その熱量と物語のスケールに驚かされました。当時の文章を大きく変えず公開されているからこそ、この作品が持つ勢いや空気感も伝わってきます。
これから帝国に隠された陰謀がどのように明らかになっていくのか。そしてカリュースとリーディスがどんな運命を歩んでいくのか、最後までじっくり追いかけたくなる作品です。応援しています!
このただ一点で一気に読み進められる。
主人公は前菜。ヴィランがメインである。イタリアンでいうと最初にぽんっと出て、存在感をもったまま最後まで鎮座するチーズフォンデュである。
彼女はこの作品における、政治・軍事・宗教・血統・暴力・情愛を一人で背負う、歩く戦略爆弾、ドスケベ属性のヒロインである。
出てくるだけで作戦を予感させる。笑うだけで敵が嫌な予感を覚える。
こういう女公爵を好きにならない方が無理である。
しかも、未公開情報・外伝情報で、ヴィランの外伝の存在にも触れられているのである。もちろん、食べに行く。
黒わんこ先生は、軍事オタクの豚の餌をよくわかっている⋯。
100話ある内の第6話まで読み進めたレビューですが、誰もが「これぞ求めていた正統派の重厚戦記!」だと、読み始めてすぐに確信するはずです。
主人公カリュースの圧倒的な武勇も魅力的ですが、それだけでなく、本作の本質は生々しいまでの情報戦と政治劇にあります。
立場の違いが生む人間ドラマの深さが、すべてが計算し尽くされた構成で描かれており、ページをめくる手が止まらなくなります!
ファンタジーの枠を超え、大衆心理や組織の闇に切り込む骨太なドラマをたっぷり読みたい方に、おすすめしたい傑作です!
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剣を振るうことが正義だと信じていた若き騎士カリュースが、皇帝の勅命でランフォーレ姫の救出に向かう王道戦記の幕開けに見えて、実際は戦争の裏側に潜む巨大な支配構造へと足を踏み入れていく構成が秀逸だ。
病床にありながら戦局を読み切る白髪の友リーディスとの対照的な関係性が物語の支柱になっており、武力一辺倒ではなく軍略と情報戦で戦乱を進めていく筆致が、派手な無双に頼らない重厚さを生んでいる。要塞攻略、市民革命、諜報戦と積み重ねられる展開の中で、国家・宗教・血統が絡み合う構造が静かに姿を現す様は、政治劇としての厚みも十分だ。「救出は果たされる。だがその先に待っているのは栄光ではない」という一文が、この物語が単純な勝利譚ではないことを静かに予告している。
全100話・28万字超の長編ながら、会話や人物描写の自然さで読みやすさを失わない筆力が魅力。アルスラーン戦記のような「国家と人間」を描く正統派戦記ファンタジーが好きな人には間違いなく刺さる完結済みの一作だ。