作者さまが高校生時代に書かれた作品を、Web小説として投稿されたという
『EWIG(エーヴィヒ)――帝国騎士と病床の白髪の友が織りなす、戦乱を生き抜く長編戦記』
本編読了したばかりなのですが、
ラストシーンが非常に印象的でした
99話とそれなりの量がありながらも、
まるでひとときの夢に酔いしれたかのような読後感
このラストに至るまでの描かれていない物語の存在が感じ取れました
それは、本編の99話を通して、主人公たちがしっかりと「闘い、生きた」からに違いありません
彼らの冒険を見届けた読者だけが、このラストで、「その間の空白」に思いを馳せることができるのです
ぜひご一読ください
まだすべてを拝読したわけではないのでレビューを書くのも恐縮ですが、書きたい衝動に迫られるほど、この物語が持つ純粋な力を感じました。
どのような言葉を並べても語り尽くせないほどの完成度の高さは、自身が抱いていたWEB小説への価値観が更新された感覚を受けました。
何度も読み返したくなる物語こそ強い小説だと考えますが、まさにそれを体現している圧倒的スケールの世界観。
序盤は登場人物や勢力図の説明から物語の土台づくりで進み、章が進むごとに、あらゆる山の頂から湧いた清流がやがて大河へ向かっていくように、絶妙な伏線によって太く強みを増していく。
現実社会にも通ずる政治的権力、主従の信頼、善悪、地上と地下、革命と自由……
そこには様々な暗喩に満ち、胸を締め付ける場面に遭遇することも少なくありません。
高校生の頃に執筆したとあり、紛れもなく自律した天賦の才によるものだとお見受けしますが、同時にこの物語を構成、推敲し、WEB小説の仕様に整えるまでに費やした時間と労力をひしと感じ取ることができ、ストーリーの語り部としての強さをどの章からも読み取ることができます。
戦記物としての質の高さもさることながら、精妙な人物造形が素晴らしく、登場人物が織り成す判断や覚悟、欲深さに触れることでたしかな読み応えを体感できました。
とにかくリーダビリティ抜群で、情報量による説得力に溢れる、心に迫る珠玉の物語です。
地の文での描写が素晴らしく話を読んでいると、世界に入り込むような没入感があります。
登場人物は多く内容もどっしりとしていますので、初見で把握しきるのは難しいです。
しかし、読み返して全てを味わいつくしたいほど練り尽くされた世界がここにあります。
それこそが良き沼。戦記物だからこそ描ける様々な登場人物への高揚感。
ファンタジーの原点とも言える熱気が作品を通して伝わります。
また、作者様のご厚意で近況にあらすじなども分かりやすくまとめられており、
そのあらすじも挿絵付きで一本の物語として読めるほど読みやすく作られています。
戦記物としてはお手本とも言える作品でオススメです。
帝国騎士と病床の友という関係性の置き方が、とても印象に残りました。
戦いの只中にありながら、物語の中心にあるのが「誰かのために在る」という意志なのが良いですね。
激しい時代背景と、対話の対比が物語に厚みを与えています。
特に、言葉のやり取りの一つ一つに、互いを思う距離感が滲んでいるのが伝わってきました。
騎士としての責務と、個人としての感情の間で揺れる描写も見応えがあります。
大きな戦局の中にありながら、物語の軸がぶれない構成が心地よいです。
二人の関係がこの先どのような形に辿り着くのか、自然と続きを追いたくなりました。
静と動が共存する物語として、しっかり印象に残る作品だと思います。
鎧の重みを感じるような重厚な文章で綴られたダークファンタジー戦記小説です。
ダークファンタジー小説ではありますが、登場人物全員が魔術を使えるわけではなく、その戦闘は極めて現実的です。
馬を駆り、剣や弓などの武器で戦います。そのため、戦略、戦術もかなり現実的であり、王道の戦記小説としての読み応えが素晴らしいです。
また逆に魔術を扱う戦闘シーンもありますが、火球などを使った派手な戦いではなく、ロジカルで古典的な魔術の使い方です。怪しげでありながら、神秘に満ちている魔を扱う術が描かれています。
個人的には第四巻、第八章の『挟撃』が特に面白かったです。
白髪の軍師と黒の軍師の邂逅。二人の考え方の違い、実際に戦場で起こったことへの受け止め方など、両者の人物像がはっきりと描かれています。さらに戦場の軍略、主人公カリュースの活躍、戦いの結末など、戦記小説としての魅力が詰まった章だと個人的に思いました。
また、レビューに設定集が読みたい、世界地図が読みたいと書かせていただこうとしていたところ、作者様の近況ノートにすでにありました。なんて優しい方なのだろうと思いました。
『黒わんこカフェ』という料理ブログに飛んだ時はビックリしましたが、挿絵付きの丁寧なあらすじ、登場人物紹介があり、重ねてビックリしました。
料理ブログ目当てで来た人は、黒いワンちゃん、パン、お菓子の並びに重厚なダークファンタジー戦記小説があることに驚くのではないかなぁ、などと思いましたね。
最後に99話完結ということですが、これからも応援しております。
素晴らしい物語を生み出して下さりありがとうございます!