BPM180で、物語(ナラティブ)を超えてゆけ。
- ★★★ Excellent!!!
このレビューは、最終回のひとつ手前まで読んだ段階で書いています。
全部読み終えたあとにまとめた方がいい気もするのですが、熱が残っているうちに残しておきます。
既に素晴らしいレビューが数多くある作品なので、改めて何かを言うのは野暮かもしれません。けれど、端正な文章で紡がれる「選ばれてしまった」側の少年が辿る軌跡には、触れておきたいと思いました。
ここに書かれているのは決して気持ちがいいばかりの成功譚ではなく、ときに目を背けたくなるひどく醜いものや、どうしようもない現実です。それでも主人公の優くんは、痛いくらいのひたむきさで現実と向き合っていくことを選ぶ。その選択が、読み手側にもまっすぐ刺さってきます。
そして、高校生たちのみずみずしさが大きな魅力の本作ですが、個人的には周囲の大人たちの描き方がとても良いと感じました。酸いも甘いも噛み分けた空気をまといながら、どこかでまだ熱を捨てていない。人生相応の厚みを持った人物たちがただの舞台装置ではなく、物語の熱を支えているのがとても印象的でした。
結局のところ「生身で、何かをやれる人間」がいちばん強い。
格好よく物語ることでも、誰かに意味づけてもらうことでもなく、自分の身体と意志で踏み込んでいける奴が一番TUEEE。そんな“生きている人間の強度”を体感できるこの作品は、大人が読むことで刺さる場所が増えていくタイプの物語です。しばらく忘れていた「熱さ」を取り戻してみたい方、ぜひ読んでみてください。