「守られて、出られない」——終わりが確定した日常。
- ★★★ Excellent!!!
巨大蜘蛛と女子大生の同居譚は、「終わりが確定している日常を、どうやって今日まで運ぶか」の物語。
冒頭の異物感は強烈なのに、読んで残るのは恐怖より生活の匂い。
毒舌、説教、容赦ないツッコミ。千年モノの怪物がやっているのは、掃除機を操り、紙屑を分け、段取りを整え、言葉で人間を立たせること。
可笑しいのに、ふと気づく。この生活の手入れそのものが、守護の形式なんだと。
想子のだらしなさも、ただの怠惰じゃない。達観と諦めの底で、それでも今日を続けてしまう。その姿が九縄の千年の重さと釣り合って見える瞬間があり、胸を掴まれました。
八本の脚で囲まれた檻——守られて、出られない。
優しさと束縛が同じ形をしているから、笑っていた場面で静かに背筋が冷える。
日常がそのまま怪談に反転する瞬間が巧い、唯一無二のバディものです。