静かに感動を与えてくる、美しい物語

 物語の舞台はレシテというのどかな気候の島。

 その島の古都プルシェでは一月後に王の息子の成人の儀式が行われるようだ。
島で有名ないくつかの舞踏団は、その儀式の際に、王や王子の前で舞を披露するらしい。

 本作はその舞踏団の一つである『青海の紅玉』のメンバー、フィンとユアンとプロムを中心とした物語だ。

 笛吹きの少年ユアン、亜麻色の髪の舞姫プロム、そしてかつて笛吹きだった少年フィン。

 なぜフィンは笛を吹かなくなったのか?

 フィンはひかりの森というところを探しているらしいが、それはいったいなんなのか……?

 そのような疑問を抱かせながら、三人の友情や努力や葛藤が描かれていく、その人間ドラマが素晴らしい。

 丁寧な文章で静かに感動を与えてくる、児童文学にありそうな物語でした。おすすめです!

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