概要
ぎゅうぎゅう。ぎゅうぎゅう。男性が花を絞ると、ぽたぽたと蜜が滴った。
二十歳。成人を迎えたわたしは、家の裏山でハナコドモを食べてしまった。食欲には勝てないし、酸っぱくなくて甘い匂いに負けたのだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!子供から大人になる不安。ここにしかない独特で耽美な世界観が衝撃です
短い中でも「怪奇と幻想、そして耽美な世界」がこれでもかと濃縮されていました。
主人公である私は、裏山で「ハナコドモ」を食べてしまったという。それは食べてはいけないものだった。
二十歳になり、自分が「ハナコドモ」から「ハナオトナ」になってしまうのではないかと不安を感じるようになる。
ハナオトナというのは「噎せ返るような甘ったるい蜜をだらだら垂れ流す」ような存在なのだという。
自分とは別の生き物のように感じられる母。それに一種のおぞましさのようなものを感じながら過ごす。
本作はなんといっても主人公たちが「なんらかの植物のような別種の生き物」の生態を持っているのが特徴です。
…続きを読む