日本から遠い異国の地──地中海。
あるきっかけで旅行しにきていた青年と、仄かにオリーブの匂いをまとう少女で展開される、ノスタルジック短編です。
懐かしいような、儚さが胸に広がる物語でした。
さびれた都市(まち)を手を結んで進む彼らの間には、話し慣れないその場つなぎの外国語を駆使しつつも、たしかに伝わる意思があり、心があたたまります。
オススメしたいのは、本作はルビが"飾り"ではないこと。
さらっと読み流す脇役のくくりにしては惜しいと思います。
会話はイタリア語を中心にルビ振りがなされているのですが、それがとても読みやすい。
聞こえ方や、印象に残るフレーズなど、ルビから彼らの心情にそっと触れるようでした。
作中に散りばめられた光、少女の笑い声、自由にみえる姿。
なにゆえキャッチコピーが『帰るために見る夢』なのか。
彼らの出会いと、拝んだ美しい景色をご堪能あれ。
是非ご一読を❀