概要
思い描いた場所には辿り着かなかった。 それでも、悪くはなかった。
これは、少年だった自分へ返事を書くための物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!~ あの夏の宙ぶらりんな気持ちが、丁寧にすくい取られている ~
昭和から平成に変わる年の、出口のない夏休みの空気がとてもよく描かれていました。台風で足止めされた駅の待合室という舞台設定が良く、そこで出会うホームレスの男性や三姉妹との時間が、特別な事件もないのに不思議と心に残ります。
「未来の自分に何を書くか」という問いを少年の頃には答えられなかった主人公が、三十年後に偶然見つけたボトルレターを通して、ようやく自分なりの答えを見つける構成が綺麗でした。大きな夢は叶わなくても、小さな願いは叶えられた、という結びに静かな満足感があります。
派手さはないけれど、読後にふと自分の十代を思い出させてくれる一篇でした - ★★★ Excellent!!!過ぎ去った夏の記憶が、静かに胸へ届く短編でした。
1989年、昭和が終わり平成が始まった年。けれど主人公にとって世界は大きく変わらず、何者かになりたい焦りと、何者にもなれない予感だけが湿気のようにまとわりついている。その青春の閉塞感がとてもリアルで、冒頭から強く引き込まれました。
この作品の魅力は、特別な大事件ではなく、ふとした旅先で出会う人や、偶然手にしたもの、何気ない会話の温度が、人生の中で忘れがたい記憶になっていくところだと思います。若月新一様は、過去をただ懐かしく描くのではなく、その時には意味を持てなかった出来事が、長い時間を経て静かに心へ返ってくる瞬間を描くのが本当に上手い方だと感じました。
読み終えたあと、自分にもどこかに置…続きを読む