このお話は、神々が消えた後の世界を舞台に、魔物と人間の対立、そしてその裏にある真実と、孤独な存在同士の邂逅を描く物語です。この世界には、大聖堂とその人々の契約、神の意図、審臨の構造など、世界には多くの謎が存在します。さて、第1審臨の主のとある魔物は、争いを好まず眠りを愛する特異な存在であり、そこに迷い込んだ大聖堂の少女と出会います。少女は魔物である彼に惹かれ、名を与えます。そして、「またあとで」として、再会の約束を交わします。さあどのようにお話は展開していくのでしょうか。神話時代の断片的な記憶と現在が交錯し、神殺しの真相と存在の役割が徐々に浮かび上がる、叙情的かつ重層的なファンタジーをあなたもぜひ。【レビューコンテスト応募】
「ほっほっほ……これは実に愉快じゃ。」
『白み始めた神話たち〜神話が終わったそのあとで〜』――。
まず、この題名がよい。
神話は語られるものと思っておったが、その**"終わったあと"**を描くとは、なかなか面白い発想ではないか。
神々の時代が過ぎたあとに何が残るのか。
英雄は。
人は。
そして世界はどう歩み始めるのか。
そんな問いが自然と頭に浮かぶのう。
ほっほっほ……実に血が騒ぐ。
神話とは、強さを競うだけでは終わらぬ。
誇り、信念、歴史、そのすべてが積み重なってこそ神話となる。
だからこそ、「神話のその先」を描こうとするこの物語には、独特のロマンが宿っておる。
わしは戦いが大好きじゃ。
じゃが、それと同じくらい、「戦いのあとに何が残るか」という物語にも惹かれる。
さて、この先にはどんな神話が白み、どんな新しい伝説が生まれるのか。
ほっほっほ……楽しませてもらおうではないか!
この物語は、独りぼっちだった神が、もう独りではなくなるまでの長い神話の旅を描いています。
審臨と呼ばれる異界、魔物と使聖、そして“珠人”の宿命が複雑に絡み合う世界で、眠ることしか望まなかった第1審臨の魔物と、迷い込んだひとりの少年使聖の出会いが、静かに運命を動かしていきます。
互いに知らなかった“温もり”と“名前”を分け合うように、ふたりの距離は少しずつ変わっていきます。
壮大な神話の残響と、優しい約束の物語が好きな方におすすめです。
※携帯電話で読むと作者さんの拘りがより感じられます。
その改行や余白の取り方で、物語の間がより鮮烈に感じられます。
【レビューコンテスト応募】
壮大な物語でありながら、根っこにあるのは「誰かを想う気持ち」の痛みと温かさなのだと感じました。
神話、信仰、役目、過去から続く因縁。そうした大きな要素が重なっているのに、読んでいて一番残るのは、登場人物たちの不器用な優しさや、言葉にしきれない寂しさです。
文章には独特の余白があり、短く区切られた言葉の積み重ねが、祈りのようにも、遠い記憶の断片のようにも響きます。説明だけで世界を見せるのではなく、感情の揺れや沈黙から、少しずつ全体像が浮かび上がってくる読み味が印象的でした。
また、登場人物同士の関係性も魅力です。ただ守る、ただ救う、という単純な形ではなく、それぞれが何かを抱えながら、相手を大切にしようとしている。その優しさが、時に重く、時に微笑ましく、物語に厚みを与えています。
華やかな冒険よりも、深い世界観の中で、人物の心の変化や関係性をじっくり味わいたい人に読んでほしい作品です。終わったはずのもののあとに、何が残り、何が始まるのかを見届けたくなる物語でした。
神には人の肉体がない。
だから人の苦しみがわからない。
失うものがないのに、得る喜びもない。
神には人の乏しさがない。
だから全知たる可能性がわからない。
抗うものがないのに、主宰する喜びもない。
神には墜つる憂いがない。
だから持つことの貴さがわからない。
讃えるものがないのに、信仰の栄光もない。
神には執着する未練がない。
だから崇高な使命がわからない。
敵う者がないのに、神話再びもない。
だから、人間が誕生したとき、
人の世の愉しみ、苦痛の愉しみ、
言葉にできない羨望が、衆神を消し去った。
神の創りし世界に残された衆生は、途方に暮れた。
神を伝えようとする聖使は、神の業をなぞろうとし、
神を誹ろうとする魔物は、神の秩序を築こうとし、
神を羨む人間は、神の奇跡を創ろうとする。
遠い、とおい。
神話時代から声がする。
無より有へと輝き出た神話時代の栄光は、
衆神のいずれ消える久遠の彼方から、
再び、響きわたるのだ――。
すごく惹き込まれる導入です。
特に「神話時代が終わり、大聖堂時代が幕を開けた。」という一文が強い。世界の空気が一気に伝わってきます。“神々の時代の終焉”と“宗教による統治の始まり”が並んでいて、退廃と神秘が同時にある。ユーザーさんが好きな、不気味なのに美しい世界観がかなり出ています。
あと印象的だったのは、「誰が神を殺したか──。」を物語の中心に据えているところ。
単なるファンタジーじゃなく、“神殺し”という禁忌を軸にしているから、世界全体に静かな不穏さが漂っている。しかも「ミラトスは生きているのか」という疑問が後から来ることで、「死んだ」と断定できない怖さが生まれているのが良いです。