ニュージーランドの雄大な雪景色を舞台に描かれる、とても爽やかな青春ストーリーです。
スノーボードや音楽、旅先での出会いといった魅力的な要素が詰め込まれていますが、この物語の本当の魅力は、「誰かとの出会いが人生を少しずつ変えていく」過程を丁寧に描いているところだと思います。
主人公二人の会話は自然体で、時に笑えて、時に胸が温かくなります。お互いに励まそうと肩肘を張るのではなく、何気ない言葉のやり取りが少しずつ相手の背中を押していく。その距離感がとても心地よく感じました。
また、ニュージーランドの美しい景色や雪山の爽快感、ライブ会場の高揚感まで鮮やかに伝わってきて、まるで自分も一緒に旅をしているような気持ちになります。
この物語は恋愛小説ですが、それだけでは終わらない物語です。夢を見失った人がもう一度前を向く物語でもあり、新しい一歩を踏み出す勇気をもらえる物語でもあります。
読み終えた後には、きっと雪山の澄んだ空気とともに、誰かとの出会いの大切さが心に残るはずです。青春、恋愛、旅、音楽──そのどれか一つでも好きな方なら、ぜひ手に取ってほしい一作です。
旅先での偶然の出会いが、人生を変えることもある……。
本作は、心身をすり減らした青年・コウが、ニュージーランドのスキーリゾート「ミルフォード・ピーク」を訪れるところから始まります。
そこで彼が出会うのは、明るく自由奔放で、どこか危なっかしい魅力を持つ少女・ミオ。
リフトのトラブルという思いがけない出来事をきっかけに、二人の特別な時間が動き出します。
雄大な雪景色、スノーボードの爽快感、洋楽が彩る空気、旅先ならではの高揚感。
その中で交わされる二人の会話は軽快で楽しく、時に思わず笑ってしまうほどです。
けれどその奥には、それぞれが抱えてきた喪失や挫折、孤独が静かに息づいています。
ミオの眩しい才能と脆さ、コウの不器用だけれど誠実な優しさ。二人は互いに振り回されながらも、少しずつ相手の心に触れ、自分自身の人生にも向き合っていきます。
ただ慰め合うのではなく、お互いに「もう一度ちゃんと生きよう」と背中を押し合う関係性がとても温かいです。
そして物語の終盤には、旅で出会った奇跡がその場限りの思い出ではなく、二人の未来へとつながっていく美しい余韻が待っています。
読後には、人生に少し疲れた時でも、どこかへ一歩踏み出せば新しい景色に出会えるかもしれない……そんな前向きな気持ちをもらえました。
雪山、音楽、旅、再生、そして優しい恋。
爽やかで温かくて、最後まで見届けたくなる素敵な物語です!