笑えて、驚きもあって、最初から最後までたっぷり楽しめる作品です

 コメディ系の作風でくすっと笑えるんですが、現実的な問題もいろいろ描かれていて、考えさせられる作品でもありました。

 主人公はある宗教団体の教祖なんですが、ありがたや霊水という、教祖が念を込めたことで飲むと健康になる効果が付与された水を、彼は二千円で売りだします。

 こんなん詐欺だろって思うかもしれませんが、いちおうこの教祖は本物の霊能力者みたいで、ちゃんと効果はあるみたいです。

 しかし、そんな霊水に、予想外の使い方をする人が現れます。

 ヨシオという少年なんですが、その霊水を幽霊が出るという噂がある沼に入れたり、学校のトイレのシンクの中に入れたりしてしまいます。
 すると、その水を入れた場所が幽霊が出る心霊スポットになってしまいました。

 信者たちはこんな幽霊を呼びよせるものを飲んで大丈夫なのかと考えるようになり、教祖に苦情が来るようになるのですが、さて、彼はどのようにしてこの困難に対処するのか……

 というような物語なんですが、この主人公がその後どうなるかは、是非実際に読んで、確かめていただきたいです。

 信者たちの質問や苦情に対する教祖の返答が、記者会見とかでよく出るような言葉で、私は思わず笑ってしまいました。

 後半には、いつものように黒澤主計さんらしい衝撃の展開があるので、今回も皆さんの期待を裏切らないクオリティだと思います。

 最初から最後まで楽しめた作品なので、おすすめです。

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