概要
そう、目も鼻も口もない、「卵のようなつるりとした顔」が特徴な妖怪だ。
のっぺらぼうである俺の仕事は、人を驚かせること。「最近、顔をなくしちゃってねえ~」とか言いながら卵のような顔を見せてやる。
悲鳴が上がる。その瞬間が最高のハッピーだ。
今日も俺は「獲物」を求め、一人のお嬢さんが近づいてくるのを待った。「悲しいなあ、見つからないなあ」なんて言いながら蹲っていると、優しいお嬢さんが声をかけてくれる。
そして、俺は「顔」を見せてやった。
だが、様子がおかしかった。
「お父さん?」と彼女はびっくりした顔をし、そのまま俺を「自宅」へと連れて帰った。
おかしい。何が起きている?
どうやらこの家の人たち、俺のことを「死
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- ★★★ Excellent!!!ミステリーのお約束と妖怪が掛け合わされ、笑いと驚きの化学反応を起こす。
「特定の怪異と似通った怪異が、時代や場所によって亜種として存在する」というのは、妖怪譚や都市伝説だと非常によくある事例です。
現代怪異「赤い服の女」には「赤いマフラーの女」「赤いヤッケの女」、さらには「赤マント」といったバリエーションが存在しますし、古典妖怪「見上げ入道」にも「見越し入道」「入道坊主」というような類例あるいは別称が存在します。
実はかの有名な「のっぺらぼう」も、その例に漏れません。小泉八雲の著作では「貉(むじな)」なる怪談の中で語られ、どうやら狸の類が人間を驚かすために顔のない化け物を装ったらしいということになっているわけですが、他に不気味な肉塊の怪物「ぬっぺっぼう」、別称の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!のっぺらぼうを忘れないでください
元旦、彼は今日も働いていた。
彼はのっぺらぼう。
ない、ないと探し物をしていると、親切な人が「どうしました?」と声をかけてくる。
「実は、『顔』をなくしてしまってねえ」
と、のっぺりとした顔を見せて、ハッピーを与えるのだ。
今日もハッピーを与えようとしたが、返ってきた言葉は「お父さん…?」
あれ、なにか変なことに巻き込まれている…!?
面白かったです。
お父さんと譲らない母子に、登場する刑事たち。
のっぺらぼうの正体には、「そうだったのか」と唸りました。
作者さまの知識と発想力が半端ない。
ぱたぱたと解明されていく謎が気持ち良いです。
年末に縁起のよいお話を見せていただきました!
そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!理詰めの美学
黒澤作品。
理詰めでストーリーが作られている。
そんな印象を受ける。
理屈が先。
すると、破綻が無い。
ポンと浮かんだお話。
感覚だけでソレを書き上げると、
出来上がりは穴だらけだったりする。
推理を主とするお話に穴があると、説得力に欠け、お話は破綻してしまう。
短編における黒澤作品は、
推理要素のあるシチュエーションコメディが多い。
状況設定(シチュエーション)が生み出す食い違いや不条理さが笑いの要素となっているコメディである。
ハマるのだ。
ガッチガチにハマる。
違う、違うんだよと思う主人公サイドの思いと、勘違いサイドの思いがガッシリとハマるのだ。
ただのシチュエーションコメディでは、ハ…続きを読む