自分が死んだあとのことなんて、凡人でしたらそれほど気にしないかもしれません。
けれど、偉業を成し遂げた皇帝ともなればより多くの人に覚えていてほしいもの。
ほんのちょっと――いえ、もうちょっと――話を盛って伝説を作ってもいいかな、なんて。
本当のことなんて後の世の人には確かめられないんですから。
――ところが。
その盛った伝記を読んだ後の人々が、救いを求めて伝説の帝王を蘇らせてしまいます。
今更言えませんよね。ちょっとだけ大げさに書いたとか。
それでもやっぱり、彼は盛らなくても十分に強くて器の大きな帝王なのです。
彼は人々の窮地を救い、そして自らの死後の国の歴史を知ることになります。
そこには想像もしていなかった事実があり……。
カクヨム広しといえど、なかなかない設定の作品だと思います。
どういう結末を迎えるのか先が読めず、更新がとても楽しみな作品でした。
ついに完結されましたので、これを機にぜひ!
ある奇妙な男の事を語ろう。
歴史上、未だ類を見ない特殊な経歴で、尚且つ歴史に名を刻む実績を伴った男の話だ。
彼の経歴を特殊たらしめているのは、活躍した期間の長さ……否、
『数』である。
ユリウス・カエサル。ナポレオン・ボナパルト。アレクサンダー大王。
大王ギルガメッシュ。坂本龍馬。
世界に名を刻む偉人は数多かれど、その偉業を持ってしてもこの男には追いつけないのだ。
どういうことか?
この男、『二つの時代』で活躍し、それぞれ歴史になを刻む偉業を成した男なのだ。
そんな男のことを未だかつて、聞いたことがあるだろうか?
故に彼を蘇らせた男にも功績はあるのだが、そのことにはあえて触れないでおく。
アレリウス・ジークマール・エルドウェン。
岩を砕く男。
一国を築き上げた男。
……蘇り、自身に課せられた過大評価を、更新した男。
彼の成し遂げた功罪、背負った業、とても一人の男が抱え込めるものではあるまい。
……一度の人生では。
この偉大な男の名を、ここ、カクヨムの地で語り、
その名が刻まれることを切に願う。
SB亭篠織著、
『英雄、二度来たる』冒頭より。
この『圧倒的なリアリティ』に裏付けられたファンタジー世界。読めば読むほど緻密かつ重厚に練り上げられた物語に唸らされました。
主人公はとある帝国の皇帝であるアレリウス。彼は自分自身の『伝記』を後世に残すことになるのですが、その内容がもう『盛るわ盛るわ』の粉飾だらけとなっています。いかに不可能な状況で戦いに勝ってきたかとか、ものすごい怪力の持ち主ってことになっているとか。
そして、そんな伝記だけが千年後の未来に残ったことで彼の身に思わぬ事態が。
人生の終わりを迎えてから千年後、アレリウスは魔法の力によって蘇ることになります。テッサルトという名のその国はカルマンダ国との戦争を続けていて、現在は劣勢。「粉飾した伝記」の内容を信じる人々は、アレリウスを味方につけることで戦いに勝てると信じていて……。
ここから彼がどうするか。それがまず本書のポイントにもなります。
ファンタジーを読みなれた読者なら、ここでどんな想像をするでしょうか。
三谷幸喜の「合言葉は勇気」や「ザ・マジックアワー」みたいに、インチキで固めた人間が状況を好転させるジャイアントキリングな物語なんかがまずはイメージされるかも。「嘘を本当に変えるドラマ」とか、「嘘でしかないことで期待に押しつぶされる悲哀」とか。
序盤はそんな感じに「なんだかんだで結構有能なアレリウスさん」が活躍していき、テッサルトが勝利を掴む、というような流れにもなっていきます。
でも、この物語はそこからのヒロイックで終わらないところが、なんと言っても魅力でした。
本作はいわゆる勝利の物語では終わらず、「戦争というものの現実」、「経済や社会というものが持つ不条理」、更には「政治や集団心理」みたいなものの本質が抉られていくことになっていきます。
読み進めるごとに、「世界のどうしようもなさ」を垣間見させられることになります。
「世界を救うのは一人の英雄でもなければ、一本の魔法の剣でもない」し、「世界を悪くしているのは、邪悪な魔王なんかより、ずっとずっとタチの悪いものでもある」という。
アレリウスたちの活躍や葛藤を通し、現代でも存在する様々な問題についても考えさせられる。そんなとても深いテーマ性を持った、壮大で心を揺さぶってくれる物語でした。
偉大な先王、先々王。
その土台の上に国を盤石にした現王は、自らの存在を後世に残すべく、自伝の内容を……盛った。結構盛った。
嘘ではない。
功績も、武勇も真実に基づいてはいる。
けれど、盛ったのだ。
結果、王は1000年の後、危機に瀕した小国に召喚されてしまう。
この設定だけでも相当に面白い!
けれど、ここからです!
王の召喚には、少なくない犠牲が払われており、王は引くに引けなくなってしまう。
嘘を真にすべく、人々の想いに応えるべく、立ち上がった王が、嘘を真にする物語!
まだ序盤までの読了ですが、期待値大です!
オススメします!
やや脚色のきつい伝記を残した王が、何の因果かそれにほれ込んだ人たちに召喚されてしまう!
嘘を誠にするべく、王は顧問として一国を立て直すべく奔走する!
嘘から始まる物語のわくわくとどきどきには、代えがたい興奮がつきものであるが本作もその通りで、周囲の期待に応えざるを得なくなった王の振る舞いがユーモラスであると同時に応援したくなるかわいさを持っている。
また、そんな彼に、きっと人生を変えられたであろうキャラクターたちの今後にも注目したくなる。ある意味王ではない彼らの方がどうにも共感しやすく、ついつい頑張れ! と言いたくなってしまうこと請け合い!
この先、この国や人々の行く先が気になる異色の歴史ものです。
アレリウス・ジークマール・エルドウェン……マクシミリア帝国の長い歴史の中でも、人類史上最強にして最大の皇帝と称された人物。
そんな彼が没後1000年を経て、テッサルト王国の宮廷魔術師の力により復活!
彼を復活させた理由、それは隣国との争いに負け続けたために陥落寸前のテッサルトを救うためであった。
アレリウス自伝に書かれた戦場での英雄的な活躍からすれば、テッサルトに勝利を導くことは確実。
アレリウスは軍事顧問を要望される。
いろいろあってその職を引き受けるのだが、一つ問題があった。
彼が自伝に書いた内容は、過分に脚色されたものなのであったのだ!
一方、テッサルト王都の大橋、スリのエメリクは金持ちらしき人物の財布を盗み、その日を暮らしていた。
しかし、ジャンドと名乗る男に盗みを見抜かれてしまう。
独房行きかと思いきや、ジャンドはエメリクに対して、「男ならヒトヤマ当てろ」と、軍への入隊を勧めるのだが……。
繁栄し続けるマクシミリア帝国の歴史に埋もれることを惜しみ、自伝を脚色したアレリウス。
そして、滅亡寸前の国の軍に入り、成り上がりに人生を賭けるエメリク。
二人の視点から物語が展開される、素晴らしきファンタジー戦記物です!
国の命運を左右するアレリウス視点と、臨場感ある戦場描写や戦後の爪痕を実感させられるエメリク視点……一つの世界観を多角的に読み込むことのできる描き方に、ただただ脱帽するばかりです!
是非ともご一読下さい!!!
存亡の危機にあったテッサルト王国は起死回生の一手を打とうとする。
それは人類史上最大にして最強の皇帝、アレリウス・ジークマール・エルドウェンを魔術で蘇らせて、王国に協力してもらうこと。
その魔術は代償として命を失うらしく、その術を使用した宮廷魔術師は死んでしまった。
そんなどんなやつかもよくわからない千年前の男を貴重な宮廷魔術師の命を代償にして蘇らせるなんてよくやるなあと正直思いましたが、まあそれだけ切羽詰まっていたということなんでしょう。
さて、そうして甦ったアレリウスなんですが、なんと彼は後世に伝えられているほどすごいやつではなかった。
というのも、彼が自分で伝記を実際よりすごく盛りまくったからです。
宮廷魔術師の命を代償にしたため、頑張らざるを得なくなったアレリウス。
伝記を盛りまくったことで上がりに上がった周りの期待に、アレリウスがどう応えていくか、それを見るところにこの作品の面白さがあります。
わりと彼は普通に有能なんですが、今後も無事に乗りきれるのか?
一度読んだら目が離せない作品です。是非ご一読を。
復活した皇帝アレリウスの困惑や葛藤が上手く描かれていて、共感を呼びます。
自らの戦歴を伝記に残し死亡した皇帝アレリウス、ある日突然1000年後の未来に転生した。しかも、年齢も若返っている。
実は、陥落寸前の国家を守るために、宰相が最強の皇帝として名高いアレリウスを魔法で復活させたのだった。
ところがアレリウスは自身の伝記を大袈裟に粉飾していた。彼に言わせると、それはウソではなく脚色らしいが。
最強の皇帝が現れたからには、もうこの戦争は勝ったも同然だ。宰相たちは盛大に祝福するが、アレリウスにとっては針の筵みたいなものだ。
最強の皇帝のラベルが剥がれないように奮闘するアレリウス。見た目は若いのに老成した喋り方に違和感を持つ、事情を知らない周りの者たちとの噛み合わないやりとりも楽しい。
緻密に考えられているストーリーに読み進むほどにのめり込んでいく。アレリウスやその他のキャラがとても魅力的で応援したくなる。
この先の展開もとても楽しみな逸品、おススメです!
誰だって「かっこいい!」「素敵!」ってみんなに思われたいですよね。
いつの時代も、どんな身分の人であっても。
主人公のアレリウスはマクシミリア帝国の皇帝ですが、思いっきり話を盛った伝記を残して亡くなります。
それから時は流れ、魔法によって復活させられた場所は、なんと異国との戦乱によって危機に瀕したテッサルトという国!
なぜなら過去の粉飾しまくりの伝記を読んだ人によって、「この方なら我が国を救ってくれるに違いない!」と期待されてしまったから。
もうこれだけで物語に惹きこまれてしまいますが、アレリウスの人となりも茶目っ気にあふれていて可愛いのです。
内心では冷や汗をかきつつも、期待を裏切らないよう堂々と振る舞う……。
しかも、脚色しつつも帝国の領土を拡大したという実績は確か。
100%ウソではない、というところに読者の期待も膨らみます。
おもしろそう! と思った方はぜひ読んでみてください。
絶対に損はしませんよ!