魅力的な二つの謎と納得の解決編

 主人公とコハルは『マグパイ』という山奥にある児童養護施設で暮らしている。
 幼いころに出会った二人は強い絆で結ばれているようです。

 主人公は両親が自殺していて、コハルは父と母から捨てられてしまったらしい。しかも彼女は目が見えない。
 そんな不幸な境遇の二人ですが、この施設で幸せそうに暮らしているのは、多少なりとも救いであるように感じました。

 さて、ここからがこの物語の本筋です。

 マザーのナカジマ先生が二人に対し、見せたいものがあるという。

 先生は底に賞味期限が書かれたシールが貼ってある卵をコハルに渡すと、二人を合議室に案内する。

 そして彼女ははこの部屋の鍵が一つしかないことを二人に強調する。、

 次に、先生は二人にこの合議室で待っていてほしいと言い、その際に守ってほしいある三つのルールを提示します。

 一つ目、ドアノブのつまみを捻って中から鍵を掛けること。二つ目、目を閉じて耳を塞いでおくこと。三つ目、コハルは卵をずっと握っておくこと。

 主人公とコハルは合議室に入り、鍵を掛けて、その三つのルールを守っていると、やがて肩を誰かに叩かれる。

 肩を叩いたのはナカジマ先生だった。

 彼女はいつの間にかそこにいて、コハルから卵を受け取ると、その卵を真っ二つに割ると、何と中から合議室の鍵が出てきた。

 いったい、ナカジマ先生はどうやって密室の中に入ったのか? また、卵の中に鍵を入れたのか?

 後半でその真相が明かされるのですが、納得感のあるものでした。

 短いですが、魅力的な謎と鮮やかなトリックが楽しめる、大変面白い作品でした。是非ご一読を。

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