上がりすぎた期待に主人公がどう応えていくか、というのを楽しむ作品

 存亡の危機にあったテッサルト王国は起死回生の一手を放とうとする。

 それは人類史上最大にして最強の皇帝、アレリウス・ジークマール・エルドウェンを魔術で蘇らせて、王国に協力してもらうこと。

 その魔術は代償として命を失うらしく、その術を使用した宮廷魔術師は死んでしまった。

 そんなどんなやつかもよくわからない千年前の男を貴重な宮廷魔術師の命を代償にして蘇らせるなんてよくやるなあと正直思いましたが、まあそれだけ切羽詰まっていたということなんでしょう。

 さて、そうして甦ったアレリウスなんですが、なんと彼は後世に伝えられているほどすごいやつではなかった。

 というのも、彼が自分で伝記を実際よりすごく盛りまくったからです。

 宮廷魔術師の命を代償にしたため、頑張らざるを得なくなったアレリウス。

 伝記を盛りまくったことで上がりに上がった周りの期待に、アレリウスがどう応えていくか、それを見るところにこの作品の面白さがあります。

 わりと彼は普通に有能なんですが、今後も無事に乗りきれるのか?
 一度読んだら目が離せない作品です。是非ご一読を。

その他のおすすめレビュー

桜森よながさんの他のおすすめレビュー279