傾いでゆく天秤の上で

「誰にも怒られなくなったとき、人は道を外れる」
農民組合＝Farmers' Unionを指導監督する農民組合統括会議所「ＦＵＯ」は”県域でひとつのＦＵ”を掲げる超広域合併構想の実現を目前に控えていた。
合併協議を進めるなかで、決算書類の裏側に手を突っ込んでいくＦＵＯ組織変革部「瀬又朔（せまた・さく）」は、広域合併反対の急先鋒「ＦＵサラサ」の営農部門の情報に不信な動きを発見する。出荷ゼロにもかかわらず実績だけが増えている―それは空前の不正につながっていく”切れ端”にすぎなかった。
監査部出身の朔は、現場の声とデータの矛盾をもとに真相を追い始める。
追いつめられる仲間、すり替えられる真実、消された報告書。
痛快お仕事サスペンス『傾いでゆく天秤の上で』

天秤は、どちらに傾く。