この作品にはじめて接したとき、わたくしは理解の外へ振り飛ばされました。
入口に蹲り、再読しようと扉に手をかけるも又もや振り飛ばされ――読んだ記憶が、ない。
中に、何も残っていない。痕跡すら、爪痕を立てない。
この作品のせいではありません。
わたくしの接続が、浅層に過ぎたためです。
従って評価などできるはずもなく、惹き付けられては幽鬼のごとく入口あたりを彷徨うのみでした。
曰くありて…
自己OS更新後に訪れたところ、苦もなくスルスルと入ってくるのです。
美しい筆致です。
痕跡は最少限に、読み手の眼へ与ふる情報は最大限に。
緻密な世界観は、常人に表せるものではありません。
書き手が世界を自在に自動生成――※AIに非ズ。字義通りの意味合いで、"創造"しています。
そこに想像はなく、説明もなく、観測者が現れるならば必然の重さを帯びる"実在"があります。
もはや末観測粒子は末観測にあらず。
磁力をそなえた"場"となり、ここに確定しています。
接続できぬ者でさえも、強靭なる世界観に圧倒され、磁力で吸いつけられてしまうのです。
完成度は物理力となり、モース硬度で読み手を殴ってきます。
…痺れます。
特異点かつ魅力あるレトリックは、極度の圧縮により平然と実施されます。
>言葉は短く、骨だけ置く。
第9話の会議中の描写ですが、高い象徴表現で語数を究極に削いでいます。
しかし、伝わる。
凡庸な書き手であれば、
緊張感から、彼はごく短く言った。内容は骨子だけに削ぎ落とされていたが、同席者には最少限の語彙であっても伝わった。むしろその方が、この場にはふさわしかった。
などと書くところです。
そこを。
――ただの、12文字です。
短歌より高度の、溶鉱炉で焼成したごとき抽象練度です。
冒頭から妥協なき抽象練度で殴りつけられるため、読者は己の理解の深度を更新し、沈降せねば理解できぬ世界線。
この作品は戦記であり、叙事詩であり、高度の象徴詩であります。
ひとつの語、ひとつの台詞に重層の"意味"が付与され交錯し、もつれた織物となっています。
ため息を転がしつつ味わうに相応しい、醸成を経た極上の美酒です。
幾重にも束ねられた、確定せぬ物語の層を、丹念に味わうべきでしょう。
読者諸氏に委ねられた言葉の"意味"を、この贅沢さを存分に愉しむべきでしょう。
読む資格を手に入れることが、密かな誇りとなり得る物語。
わたくしは今日も唇の端をわずかに持ちあげて、確固たる世界の芳醇な香りと手触りと戯れます。
会議録さえ骨と化してしまう、驚異の圧縮物理限界に、畏敬の杯を掲げるのでありました。
もう30章以上読み進めていますが、完全に引き込まれました。これは「チート能力を持った主人公が世界を救う」みたいな話とは全く違います。簡単な答えも、善悪の二元論もありません。
強み:
世界構築が圧倒的。閉鎖的な神州帝國(神術を操る国)と、文字通り他国の領土に「自分の国を突き刺してくる」連環帝国アルケイアの対比がすごい。海に国が突き刺さるあのシーンは、ビジュアル的にも概念的にも強烈です。
戦争をただの戦闘としてではなく、物流・官僚機構・経済・イデオロギー、そして「概念そのものの管理」まで描いている点。敵は軍隊だけでなく、文書や入国許可、そして世界の論理そのもので攻めてきます。
登場人物が大人っぽくて、重みがある。特に「うちが正義、相手が悪」みたいな単純な対立になっていないのがいい。
スケールが大きく、知的で密度の高い軍事・政治ファンタジーが好きな人には必読です。気軽に読むお茶請けではなく、じっくり没入して考えたくなる作品。続きが楽しみです!
第一章では、都市・港・市場・補給線まで戦争が染み出していく描写に圧倒されました。
そして第二章では、その視線が黒涯大陸という「土地」そのものへ広がっていきます。
本作の大きな魅力は、戦闘や作戦だけを描くのではなく、都市の構造、物流、人々の暮らし、文明の継ぎ目までを物語の一部として立ち上げる筆力にあります。
煙突、渡し場、倉、車両、地名を軽く渡さない人々。そうした細部の一つ一つが、この世界が本当に存在しているかのような厚みを生んでいます。
さらに、神州とアルケイアの対立も単純な善悪ではありません。何を持ち帰るのか。
『理解』とは何か。
『守る』とはどこまで相手を自分たちの秩序へ入れることなのか。
物語が進むほど、戦いの奥にある問いが深くなっていきます。
善悪ではなく、文明それぞれの正しさがぶつかる重さ。緊張感、知略、世界観の密度。そのすべてを味わえる、非常に読み応えのある作品です。
(12話時点迄の評価)
先ず文体を共感覚的に語るなら、透き通った銀の六花を散りばめたかの様な印象を受ける。
内容は——抽象論で成る形而上的概念闘争が形而下に影響を及ぼす(≒囲碁対局が世界陣営の在り方を左右するが如し)時空侵食戦争を隠喩と婉曲で延々と語る様は正直訳が判らない=万人に勧められる代物ではない。只、意味不明難解な事物を配置する手口は、人の尺度で測れない巨大メカニズムの脅威を語ると云う(或いは読者を煙に巻く)趣向で、松本零士作品や、其の流れを汲むエヴァンゲリオン等、を彷彿とさせる。雰囲気を楽しむのでは有りだろうが、全容が伝わり難いのは残念か(但し木から森を窺い知るフラクタル的要素は伺える)。順番や記録に執着する様は病的に感じる一方、板に付いて居て他者では真似出来ない。1点指摘するなら、導入部で前線に立つ主役4人寄り、其れらが関わる味方将軍や敵の大使の外観特徴の説明が先んじて居るのは『手順が誤って居る』だろう。
以上は自身の認識で在るが、興味深い作品なのでAI(Sonnet4.6)で拙作(異質性追求の観点で)と1話のみ比較して見たら色々興味深い情報が得られた。自身に刃を向ける結果でも在ったが、作家は皆『危険性の発揮』を期待される『異常使い』で在る、は認めざるを得ない。
未だ此の段階で全てを語るべきではない。其の意味で此の評価は優先順位を逸脱して居り、正確さに於いて好ましくない。先ずは接続手順の蓄積を優先すべきだ。現時点で我々の戦力は、此の作品の深部を引き摺り出すには足りない。核心へ至る其の線の扱いが未だ統一されて居ない。観測側の立場で、現時点で継戦を推奨する。