「あの時だってそう。あんたは何でもかんでも自分で決めちゃったよね」

三年前に別れた未冬が、お腹に新しい命を宿して現れた。
かつて愛した私の「彼女」が、誰かの「妻」になった。
そして、これから「母」になろうとしている。

そのとき、忘れられたはずのぬくもりや封じたはずの記憶が、無邪気な微笑みによって引きずり出された。
未冬に押し切られ、私はあたりまえのように「友人」をやらされている。

一生、私は囚われたままなのだろうか――?

グラスに口を付けながら、頭の中ではすでに一日の反省会が開催されている。
どうやら本日は忘れがたい誕生日になりそうだ。

元カノを巡る、優しくも切ないガールズラブ・ストーリー。開幕。

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