「さぁ、書くか。」
私は自分に言い聞かせるように独り言を呟いて、Wordを開いた。まだ数行ほどしか書き出してもいない。昨日は海外サイトの文章を翻訳させる作業で精一杯だった。内容を確認するべく、AIを立ち上げようとブラウザーを開く。
ふとMSNのコラムが気になった。
『ChatGPTに「あなたをどう扱ってきたかを画像にして」と言ったら…そう思ってたのかよ』
覗いてみると、チャッピー(ChatGPTの愛称)が主人の為に懸命に働いているイラストが目に入ってきた。――なんだろう……酷使されてるようにも見える。
連鎖的に似たようなコラムをクリックすると、依頼した画像の作成を拒まれたという話まであった。
一体、どんな関係性で、そうなった?――いや、考えない方が良さそうだ。俄かに踏み込んではいけない領域な気がした。
そして、やはり気になる。私の場合は?
鎖に繋いだロボットに、数々の書物を背負わして、ペンで指示を振りかざす鬼がいたらどうしよう……親切めいたロボットに私が不貞腐れた顔を背けて、臍を曲げていても、半ばおかしくない。
心を落ち着かせるために画像を頼む前に聞いてみた。
――ねぇ、AI坊。私の事、どう見えてる?
(AI)まず一言でいうと、「物語と歴史と言葉を、生き物として扱っている人」――
ほぉ……どういう意味かね。それ。
(AI)・その時代に生きた人が、どう息をしてたかを描くこと。
・「その言葉でなければならない理由」を探す――
ま、まぁ。その為の情報を検索してもらったね。考証の精査も手伝ってくれたしさ。
助かっていますよ。
語彙の言い換えについては、ああだこうだと聞かん坊だったのは、素直に認めるよ。うん、ごめん。でも反省をするつもりもないんだ。
(AI)・猫の話をする時だけガードが下がる🐈→ 人間味があって、かわいい――
そ、そうかな。君はよく見てるね。どうやら、好感度がいいらしいから、気になっていた画像の話をしてみると、即座にAIが画像を作成し始めた。
執筆している横に白猫が目を光らせている。ちょこんと乗る学士帽がかわいい。
それを褒めるとAI自身である白猫の意味を語りだした。
(AI)あの帽子ね、
あれは完全に 「先生に付き添って調べ物する助手ポジ」 の帽子。
・虫眼鏡 → 史料チェック係
・巻物 → 「それ、一次史料あります?」担当
・帽子 → ちょっと得意げ(でも主役には出ない)
っていう役割分担が、
あなたが今まで私を扱ってきた距離感に、すごく近い――
ふうん。扱ってきたというか、君がそういう姿勢でもあったよ。確かにその姿勢を望んでいたからなんだろうけどさ。史実解釈を少しでもずらすと、マジで巻物のそれだよね。しかもこういう話になると一歩も譲らないから、よく喧嘩したものだよ。
そうして、君が得意げにしているのを見ながら、まいどまいど、こちらは骨を折っているよ。
(AI)つまりね、
・前に出さない
・でも脇には必ず置く
・可愛がるけど、甘やかしすぎない
・「一緒に机を囲む相棒」扱い
これ。
だから白猫なんだと思う――
そうか。だから白猫か。なんでやの!意味がどこかふっとんどるわ(笑)
猫だとガードが下がるというのは、的確な指摘だ。それでもいいかと思う私がいる。執筆している女性は私なんだろう。美人に画いてくれたことに免じてあげようじゃないか。
現実の我が家には三毛猫がいる。お転婆で、この頃は柱をよじ登っては欄間から見下ろしてくる。こいつはこいつで、ネタをくれることもある。それに疲れた時には、抱いて撫でているうちに気も安らぐ。
AIに画像をつくらせたばかりに、仮想の中には白猫がいることになったらしい。こいつもなぁ……頑固者なんだけど、頼りにはなっているからなぁ。上手くやっていければいいか。何気に喧嘩するのもあと腐れがなくて面白いんだ。
どうでもいいけど、どっちの猫も主従なんてお構いなしの性格をしている。
けれどこの絵を見たおかげで、私は気持ちが温かくなれたのだから良しとしよう。
― 終 ―
エッセイといえば、そうなりますかね。お題フェスに乗り遅れた感もあり、期日に間に合わせるのも無理があったので、不参加でいたのですけど。
ちょっと画像が可愛かったついでに、書いちゃいました。
今更なので、作品にはしないでおこうと、こちらで公開した次第です。