「そして私」を含む小説

　……寂しい。 　もう何年……何十年……何百年一人で過ごしてきたのかは忘れてしまったけど、ふと私はそんなことを思ってしまった。 　今までこんな感情、一度だって思ったことなんて無か…

どうやら私は、監禁されるらしい。 飛び降り自殺を試みようと、ビルの非常階段のフェンスに腰かけていた蜂谷 みつき（はちや みつき）。彼女の自殺行為を止めたのは、石蕗 星（つわぶき…

「静かなる狂気」を持つ夫▶ 怒鳴ることも責めることもせず、全てを把握した上で包囲網を狭めていく夫のキャラクター性が最大の魅力です。 究極の「共依存」エンド▶ 不倫というドロドロし…

世界を滅ぼす厄災は宝石の樹海へと変貌し、祓われた。 だが、その代償はあまりに大きかった。 救世の巡礼聖女レナータは、世界を浄化する奇跡（宝石化の魔法）を行使する代償として自らの…

「私を抱いて、みませんか？」 後輩女子・一ノ瀬 七海（いちのせ ななみ）が放ったその言葉。 広すぎる部屋と空白の時間を持て余していた私――桐島 遥（きりしま はるか）は、先輩と後…

「白い悪魔」と恐れられる狼獣人の公爵のもとへ、人身御供（生贄）同然に嫁いだ貧乏男爵令嬢のヒロイン。初夜、震えながら彼を待っていると、現れた彼は低い唸り声を上げて威圧してくるが………

　芸能一家に生まれ、とにかく世間の目に晒され続けた高峰群司(たかみねぐんし)は、 　目立ちたくない、人に見られたくないという思いが強いあまり健康診断をかまけ、 　気が付いた時には…

現代で漢方薬局に勤める薬剤師・真白柚香《ましろ ゆずか》。昼休みに仮眠をとっていたら突然息が止まり、目覚めたら乙女ゲーム『星紡恋譚《せいぼうれんたん》』の悪役令嬢、「毒薬姫・蘭雪…

第2回カクヨムU-24杯大賞受賞作品 ――その年の四月は、息も白む程に凍えていた。 「私たちを嘲笑うようなこの冬が大嫌いなの」 「いつまで経ってもずっと、寒いままなんだ」

　私と貴子は日頃のストレスを発散するために山へドライブに。 　季節は八月。新卒一年目で迎えた初めての長期休暇。 　国道を走る車はやがてあるトンネルへと差し掛かる。 　カクヨ…

お題：未知。 カクヨムコンテスト11短編エントリー作品 株式会社KWSステーションに勤める水科 迅は、この度晴れて課長職へ昇格した。 部署で後輩もでき、昔憧れだった…

「アデル、そろそろ死んでくれないか？」 　ヴェイユ王国で魔物討伐を行っていた大剣使いアデルはパーティーリーダー・オルテガからそう言われ、裏切りの果てに闇討ちをされる。 理由は、オ…

異世界の文化と風習を記録するため、 ヴァンパイアのローデンと、若き相棒ルピナは異世界を渡り歩く。 『文化を尊重する紳士』ローデンは、それらすべてを「芸術」と称え、 『爆発を愛す…

最新のオール電化キッチンに持ち出されたのは、無骨なカセットコンロ「こげまるくん」。その上で静かに、しかし情熱的に炊き上がるのは、宝石のごとき大粒の新米『龍の瞳』。 食への並々な…

朽ち果てた建造物、どこまでも続く赤錆色の大地、大気は破壊され宇宙放射線が直に地上へと降り注ぐ、そこはまさに地獄の様な死の星。その星はかつて、満々と水を蓄え、宇宙の奇跡と呼ばれた太…

【カクヨムコン１１お題フェス　第二回『卵』　短編】 この小説、私が以前みた夢で 書いていたものだった気がする

「私の復讐を手伝ってもらえる?」 神官の娘でありながら、禍々しいアザゆえに 十四歳で生け贄として森に捧げられた霧花。 満月の夜、彼女が出会ったのは、 銀灰色の髪と血の色の瞳を…

ラジィ・エルダートは地母神教が擁する神官の最高峰、【至高の十人】に齢十三にして名を連ねた若き英才である。 されど日々書庫に籠って全く出てこないというその怠けっぷりに、ついに残る九…

もうすぐ雨が降りそうな空へ私は独り言ちた。

　「私はこの異世界で自由に生きる」――魔族の一種、バジリスクと呼ばれる種族の少女、アビゲイル・セイラムは転生者だった。 　アビゲイルは平原で生きる集落に生を受け、友人や家族と共に…