「五黄の寅」が綴る、凄まじい熱量と俯瞰したユーモア溢れる波乱万丈記

 帝王の星が招くのは、幸運か、それとも破滅か?「五黄の寅」の運命。

「全人類最強の運勢」——そう聞けば誰もが羨むでしょう。私も羨ましい。

 しかし、本作の著者・碧銀魚氏が語る「五黄の寅」の現実は、想像を絶するジェットコースターでした。
 どんなジェットコースターか?というと安全バーがあるはずなのに「スピードと勾配が通常の3倍」という代物で、安全バーが仕事をしない速さです。

 本作は、とある事業所の長を10年務めた著者が、2025年に起きた未曾有の事件に巻き込まれた事実と事業所閉鎖までの裏側を、九星気学の視点を交えて描く実録エッセイです。

 面白いのは、単なる苦労話に留まらない点。リーマンショックでの打撃、愛猫クズハちゃんとの心温まる出会い、そして運勢が「八方塞」の経営者との決定的な星の巡りの相性の悪さ……。

 個人の努力では抗えない「運命の歯車」が、小気味よいテンポと鋭い洞察で紐解かれていきます。

 特に、職場を「生き物」と捉え、その死と再生を看取るラストシーンの静寂には胸を打たれました。

 占いを信じる人も信じない人も、組織のリーダーとして、あるいは一人の人間として「引き際と領分」を考えさせられる、学びのノンフィクション。

 読み始めると「この強烈な個人の歴史をもっと覗いてみたい」と思えるエッセイの行方に、期待と畏怖が止まりません!

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