男装少女と香りが紡ぐ、真実を知る物語
- ★★★ Excellent!!!
父親が無実の罪を被せられ、家も何もかも失ってしまった少女セシリア――唯一彼女に残された香りから様々なことを読み取る能力を武器に、男装をして宮廷に乗り込む。
重たい宿命を背負うセシリアですが、真っ直ぐで一生懸命に仕事をする姿はひたむきで、香りから様々な人々と交流していき、世界が広がっていきます。触れ合う人々とのつながりはじんわり温かく、読んでいるとほっこりと和みます。
何よりセシリアの香りが感じとるシーンがとても美しく、彼女の感じたことが生き生きとしていて、温かさや嬉しさも全部、香りを通して読者も同じように感じられる。そんな素敵な言葉であふれています。特に焼きたてのパンとひだまりの香り――セシリアの恋を予感させる香りは、想像するだけで胸がふわっと浮かぶようでした。
また悲しい気持ちも、香りの描写からセシリアの気持ちが胸を突いて感じられて、ぎゅっと物語の中に共感してしまいます。
宮廷で広がった交流と香りが、やがて渦巻く暗い陰謀へつながっていく――苦しみながら、希望を胸に進み続けるセシリアの最後はぱっと霧が晴れたように清々しく明るいものでした。
お仕事ファンタジーが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。