人は、死神のルールを超えていったのか

死神による超常的「死」と人の悪意が絡み合った新感覚ミステリーでした。

死神と親友である船橋修司の目で語られることにより、死神に寄った世界と現実の世界、読み進めるうちに二つの世界が互いに侵食し合っていく不気味な感覚に陥ります。
あどけない少年の見た目の「死神」は、主人公には友好的であり、それが一つの安心感でありつつ、無理難題を押し付けてくる相手でもあり――やがて「死」の重さが、主人公とともに読者側の頭にずしんと落ちてきます。
『ドリアン・グレイの肖像』や『最後のひと葉』など多くの古典作品でも扱われてきた「死」を作品内へ見事にモチーフとして取り込み、恐ろしいとともに、心躍るほど魅力的。「死」を楽しみ、死神に親しみ、そして急にガツンと現実の「死」のあっけない冷たさをぶるりと震えてしまいます。

冷たくて恐ろしい、けれど惹かれてしまう「死」と謎の物語でした。

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