同じ「香」をモチーフにする書き手として、嫉妬するほど鮮やかな設定と展開でした。
主人公セシルは、嘘を「腐った果実の匂い」として嗅ぎ分ける能力を持った郵便小姓(実は男装した少女)。
彼女が父の無実を晴らすために宮廷に潜入するのですが、この「香りで嘘を暴く」というミステリー要素が本当に秀逸です。
証拠品に残る焦げた匂い、犯人がまとう甘く腐った香油の匂い……。目に見えないはずの「嘘」が、彼女の鼻を通してありありと浮かび上がってくる描写は圧巻。「次はどんな匂いがするんだろう?」と読み進めてしまいます。
そして何より、彼女を守る近衛騎士エドガー。
彼から香る「陽だまりの香り」に、読んでいるこちらまで包み込まれるような安心感を覚えます。
嘘と陰謀が渦巻く宮廷で、二人が少しずつ信頼(と恋!)を深めていく様子は、まさに極上の癒やし。けれど、彼にもまた「隠された真実」があり……?
物語は二転三転し、息つく暇もないままクライマックスへ。
すべての謎が解けたとき、爽やかな感動が待っています。
そして本編終了後の「幕間」。
ここである「小さな視点」から語られるエピソードを読んだ瞬間、物語の景色がガラリと変わります。
冷徹に見えたあの人物の、香りに隠された本当の想い。
この幕間を読み終えて初めて、この物語の本当の「香り」が完成します。
ミステリー好きも、恋愛ファンも、ぜひ最後の最後まで深呼吸をして味わってください。
第二幕も楽しみにしています!
無実の罪で死を迎えた父の汚名を晴らすため、セシリアは髪を切り、少年セシルとして名も性別も人生も偽り、郵便小姓の仕事を得て王宮に潜り込む。
人々の感情を「匂い」として嗅ぎ分ける特異な嗅覚で、父が巻き込まれた事件の手掛かりを探すのだが──?
***
この作品と出会った衝撃は、もう言葉では言い表せません。
「香り」に着目し進んでいく設定の面白さはもちろんですが、特筆すべきは、筆者の確かな筆力でしょう。
感覚的にしか捉えられない「香り」を、驚く程ふんだんに文章に盛り込みつつ、それが邪魔にならずに登場人物や場所の輪郭を作るのに効果的に作用しており、素晴らしいとしか言いようがありません。
とてつもない構成力は、「事件」「出会い」「決意」が過不足なく、しかもドラマティックにぎゅっと詰まった第一話を読むだけで、誰もがはっきりとわかる事でしょう。
しっかりと構築されている世界観も、ダラダラと表現する事なく、登場する魔道具や仕事内容によってさりげなく理解に促され、その表現力には毎話思わず唸り声を上げてしまいます。
登場人物達も、その世界にしっかりと息づいて生活している様子が確かに感じられ、無理のない展開の中で主人公が着実に手掛かりに近づいて行く様子は本当に心地良いです。
父の事件に隠された真相はどんなものなのか……。
まだ拝読途中ですが、ドキドキが止まりません。
一気に読むもよし、じっくり世界観を考察しながら読むのもよし。
文句なし、傑物が描き出す珠玉の一作でしょう!!
とにかく読むべし!!!!!
どんな時でも正直に生きなさい。
そう語った父は、冤罪によって獄死しました。名誉も、財産も、家名までをも奪われて。
一人娘のセシリアは、着の身着のまま路頭に迷うことに。
残された物は一つだけ。人の真意を嗅ぎ取る能力です。
教えを守って誇りに死ぬか。
嘘に生きて明日へと繋ぐか。
セシリアは性別すら詐称し、王宮に住み込むことに。
身分は郵便小姓。手紙を集め、届ける仕事です。
日々集まってくる手紙の匂いはさまざま。
喜怒哀楽、そして――――くすぶる陰謀の臭い。
静謐な空気感の中で進行する業務は、たしかな手触りであふれています。
穏やかながらも起伏に富み、核心に迫れそうな手がかりも見つけられるはず。
彼女を取り巻く人物の奥深さも魅力です。
陽だまりの匂いのする騎士から、先輩や上司、白薔薇の香り漂う王妃まで。
きっかけはセシリアがついた嘘。
それは王宮の陰謀や父の名誉、さらには――――
情景を味わいたい読者、ミステリー好き、秘めたる恋に悶々としたい人などなど。
多くの方に刺さる作品と思います。
ご一読を。
尊敬する父親が断罪され、すべてを失った主人公。
けれど、彼女はそれでも父を信じてこれまでの自分と決別し、男装して宮廷に潜り込みます。
郵便小姓という役職で手紙を運ぶのですが、彼女には特殊な能力があり、臭いで嘘を嗅ぎ分けることができます。
それによって父の真相にも近づいていくのですが、そんな彼女と親しくなっていく人たちもいて、彼女は自身のついた嘘にも苦しめられます。
言えるはずもない恋心を秘めつつ、父を陥れた人たちの陰謀に立ち向かう姿は健気でいて力強く、応援したくなります。
手紙の仕組みや細かい設定などが凝っていて、ファンタジーならではの楽しさもあります。
文章も整っていて読みやすく、すぐにこの世界観に没入できます。
彼女の奮闘をぜひ見守ってみてください!
”手紙”をきっかけに人生ががらりと変わり、男性――”セシル”として宮廷の郵便職員になった主人公と、
同じく”手紙”によって人生が変わってしまった騎士、エドガーの二人を中心としたファンタジー世界を舞台にしたミステリーです。
タイトルにも入っている手紙というキーワードを丁寧に使われていて、
プロットがとても秀逸な物語になっています。
(語彙力がなくて申し訳ないのですが、うっかり言い過ぎてしまうとそれがネタバレになってしまいそうで書けない…。と、とにかく読んでください!!)
一幕の間に物語の最初に提示された目的から
セシルとエドガー二人の関係性の変化、真相までを綺麗にまとめられており、
読み終わると映画一本見たような満足感がありました。
休日にほっと心に残る物語が読みたい人におすすめしたいです。
主人公の父親が処刑されるところから、この物語は始まる。父親の無実を信じる主人公は、特殊な嗅覚を武器にその真相に迫ろうとしていた。そんな主人公はパン屋の前で騎士の男性からパンを貰う。その騎士からは、陽だまりの匂いがした。そして主人公は王宮で郵便物を扱う郵便小姓を募集していることを知る。主人公は名前を変えて男装し、見事に郵便小姓になることに成功する。
手紙の仕分けには、主人公の嗅覚と観察力が存分に生かされた。そして主人公はこの手紙の配達の仕事を通して、王宮内の事情や人間関係を知っていく。そして主人公の難局には、あの陽だまりの匂いがする騎士が助けてくれた。そんな中、主人公は父に無実の罪を着せ、処刑させた人物を割り出すことに成功するのだが……。
嘘の匂いはまるでどぶや焦げのような悪臭が漂う。その種類は千差万別。主人公の鼻は、かすかな匂いも、その変化も嗅ぎ分ける。
果たして、誰が味方で誰が敵なのか?
主人公の嗅覚は、正しい犯人を探し出すことができるのか?
手紙に隠されたあるトリックとは?
単なる溺愛や恋愛だけでなく、それぞれの人間関係や謎解き要素もあって、最後まで楽しく拝読させていただきました。特に香りが物語を牽引していくという今までになかった謎解きが面白かったです。
是非、御一読ください。
セシリアは父親の無実を証明するために、宮廷内にある郵便室に潜り込みます。
ただし、郵便の仕事ができるのは男性のみ。
セシリアは髪を切り、胸にサラシを巻いて、少年の姿になります。
この設定だけでも、ワクワクしますよね!
父親の罪の真相を探る謎解きのドキドキ感と、男装がバレてしまうのではないかというハラハラ感が、物語を盛り上げます。
さらには、セシリアには心の感情を嗅ぐことのできる能力があります。
嘘の香り。焦りの香り。動揺の香り。拒絶の香りなどなど。
その能力は、郵便の仕事にも発揮されます。
手紙から潮の香りを感じ取ったり、行方不明の手紙を匂いから追跡したり、小包の中のものを当てたり。
これらはセシリアの能力の高さを示すエピソードなのかな、と思いきや……。
父親の無実を証明するという謎解きミステリーなので、あとから、「あれ?あのエピソードって、実は謎を解くのに重要なものだったんだ!」と驚くことが多数。
サラリと読んでしまうと伏線を見逃してしまうので、ぜひじっくりと読んでください。
謎を解くためのピースが、あちこちに散らばっています。
さらにこの作品の見どころは、お仕事と謎解きだけではありません。
恋です!!
男装したセシリアに生まれた、恋心。
ワケあり騎士エドガーと親しくなっていくのですが、姿を偽っていることにセシリアは罪悪感を覚えます。
恋の行方が甘いものなのか、苦いものになってしまうのか。そこも要注目です!
真実と嘘が交差する、ドキドキのお仕事ミステリー&恋。
すべての謎が明かされたとき、そこに待っているものはなにか。
謎解きのピースを見逃さないよう、世界観をじっくりと楽しみながらお読みください。
感情を『香り』として読み取る能力を持つセシリア。
彼女は獄死した父の冤罪をはらすため、郵便小姓のセシルとして王宮へ入り込みます。
手紙に残る香りから持ち主を知ることが出来るセシルは、王宮内で手紙を配達しながら、父の死に関与したであろう人物の手掛かりを探すことに。
なぜ父は罪に問われ口を封じられたのか。
父がしようとしていたことは。
証拠として残された手紙の謎とは。
第二王子と肖像画の人物、さまざまな謎を解きながらセシルは真実を暴き出していきます。
香りに隠された真実とは?
脳裏に浮かび上がるような香りの表現が、主人公の感じる感情を共に感じさせてくれるような感覚があります。
男装のセシルが本当の姿を暴かれた時、周囲の人々はどう動くのか。
協力者の騎士とのほんのり甘いラブストーリーも華を添えてくれています。
自分の嘘に怯える少女が大きな王宮の謀略を暴き出すさまを、どうぞご覧くださいませ!
父親が無実の罪を被せられ、家も何もかも失ってしまった少女セシリア――唯一彼女に残された香りから様々なことを読み取る能力を武器に、男装をして宮廷に乗り込む。
重たい宿命を背負うセシリアですが、真っ直ぐで一生懸命に仕事をする姿はひたむきで、香りから様々な人々と交流していき、世界が広がっていきます。触れ合う人々とのつながりはじんわり温かく、読んでいるとほっこりと和みます。
何よりセシリアの香りが感じとるシーンがとても美しく、彼女の感じたことが生き生きとしていて、温かさや嬉しさも全部、香りを通して読者も同じように感じられる。そんな素敵な言葉であふれています。特に焼きたてのパンとひだまりの香り――セシリアの恋を予感させる香りは、想像するだけで胸がふわっと浮かぶようでした。
また悲しい気持ちも、香りの描写からセシリアの気持ちが胸を突いて感じられて、ぎゅっと物語の中に共感してしまいます。
宮廷で広がった交流と香りが、やがて渦巻く暗い陰謀へつながっていく――苦しみながら、希望を胸に進み続けるセシリアの最後はぱっと霧が晴れたように清々しく明るいものでした。
お仕事ファンタジーが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。
父を陥れられ、すべてを失ったセシリア。
冤罪の真相を知るために男装し、セシルと名を変え宮殿へ――という物語です。
セシルには香りを嗅ぎ分ける特技があり、それは異能と言っていいレベル。
彼女が感じるのは新しいインクや古びた羊皮紙の匂い。そして人の焦りや恋さえも――!
誠実であれ。それがセシルの父の教えでした。
しかしセシルは身分も性別も偽っています。嘘をつくたびに口中に苦い偽りの香りが広がります。
父の名誉のために、父の教えに背く……そんな自分にセシルは揺れ動きます。
しかしこの物語、登場人物みんなが胸に様々な機微を抱えているのです。
人生の重圧。失敗への恐怖。我欲。
みずからの弱さと戦う人々がぶつかり合うことで、物語の佳境では息詰まるような苦しさが描かれました。
でも誰もが自分自身を見つめた先で吐露されたのは、愛。それが優しい救いとなっています。
また特筆すべきは〈郵便小姓〉という架空の仕事。書状を集荷し配達する宮殿の部署です。貴族の暮らしや政治を支える仕組みであり、セシルはそこに潜入します。
その仕事ぶりを提示することにより国家の在りようまでが浮かび上がる作品の骨組みは、作者の巧みさだと思います。
繊細に描写される王宮と、そこに暮らす王族から下女までの息遣いに触れられる、文句なしの良作ではないでしょうか。
真実は時に厳しく、優しさからの嘘もある。
眩い光の下には深い影ができる。
何重もの層になり紡がれていくセシルたちの物語に、どうぞ出会ってみて下さい。
父が無実で断罪されたヒロイン。彼女は真相を、犯人を明らかにするため宮廷に入るため、名を変え男性として郵便小姓になります。
その時点で、もうどうなるの!?とストーリーが気になりますよね!!
その小説を魅力的にしているのが、筆者の描く文章です。
魔法、町並み、宮廷、すべての描写が詳細鮮明で、まるで絵でみているよう。
とくに魔法は魅力的でわくわくして、文章をじっくり味わいたいほど。
もちろんヒロインの内面描写も繊細で、切ない!
正直に言って、これはプロのレベルです。
なぜ書籍化していないの!?早く編集さんに見つけてほしい。
ぜひ読んでください、おすすめです。