共生のかたち
- ★★★ Excellent!!!
竜の住まう聖域と人の住まう世界。
分け隔てられてきた二つの世界の境界をめぐる物語です。
作中では境を越えるのは人の側で、ある意味で「悪役」を担うわけですが、作者様は決してこれを単純な善悪対立の構図とは捉えておられないようです。
近年取り沙汰される「人と熊」「日本人と外国人」「東と西」……さまざまな対立軸がある中で、どちらかが一方的に善なり悪なりであることは稀で、その境界線はとても複雑で曖昧で繊細です。
共存とひとくちに言っても、同じ場所で和気藹々と暮らす共存もあれば、境界線を引いて互いに顔を合わせない共存の形もあります。
さて、決して平和的とは言えない状況で出会った飛竜のデイジーと人間ヘルム。
彼らはどのような共生の形を選び取るでしょうか。
オススメいたします。
ぜひ。