設定や構成が鮮やかで、物語の世界観に飲み込まれました。
双樹の国で、主人公である翠は、両親とはぐれてしまった。彼女の家は貧乏だったから、もしかすると彼女は捨てられてしまったのかもしれない。そんなことを考えていると、双樹の国では珍しい薄い茶色の髪を持った少年と出会った。
彼の名前は玲。彼が言うには、彼の家は国内ではそこそこ大きい商いをやっているそうだ。彼はストレートな物言いで、その温かい手を差し出した。
翠は涙を浮かべ、彼の救いの手を取る。そうして、二人の物語が始まった。だが、双樹の国には、ある女神伝説が昔から伝わっていて、二人は——といったお話です。
とても面白かったです。文字数は9900文字ほどありますが、すらすら読むことができました。ストーリーの展開が面白く、また、切ない感じで、心に響きました。
全ての描写が上手い物語だと思いながら読んでいましたが、中でも感情の描写はさらに上手いと思いました。主人公や玲くんの気持ちが短編を通してきちんと伝わってきて、味わい深い物語でした…!
世界観がとても大好きなお話なので、続編を読んでみたくなりました。それくらい、物語にのめり込みました。私の気持ちを、皆さんにも体感してほしいです。
ぜひ、ぜひご一読ください!
主人公・翠は親に捨てられてしまいましたが、年上の少年・玲と偶然出会い、彼の家族に温かく迎え入れられます。
玲の夢は商人として一人前になって、店を大きくすること。
翠の夢は、そんな玲を手助けすること。
しかし、翠が伝説の女神の生まれ変わりと判明したことで、二人の運命は一変します。翠が皇帝に嫁ぐことは、逃れられない定めとなりました。
そんな彼女のそばにいるためだけに玲は自身の夢を捨て、神官長として生きる道を選びます。
翠、玲、皇帝。
三者三様の愛と覚悟があり、全員を心から応援したくなりました。
美しくも切ない運命の物語をぜひ見届けてください。
重厚な物語が流麗な文章で紡がれていて、冒頭から結末までずっと圧倒されていました。
双樹の国、そこには女神伝説がある。
遠い昔、この国の皇帝と花の女神が恋人になった。
女神の名は暎花。二人は愛し合っていたが、皇帝は出来心で浮気してしまう。怒った暎花は花の神の国へと帰り、昼夜問わず詫び続ける皇帝にこのような内容のことを言う。
今生ではもう会わないということ、もし皇子が生まれたらそれは皇帝が転生した姿であり、そのときは自分もどこかで転生しているから、また見つけられたらあなたのものになる、と。
さて、そんな伝説のある国で、140年振りに皇子が産まれた。女神の化身は皇子が9歳のときに見つかった。
その化身が本作の主人公の翠だ。
彼女は皇子と結ばれる運命にある。
しかし、翠には玲という好きな人がいた。
玲は幼い頃、親に捨てられた主人公を救ってくれた男だ。
彼には夢があった。その夢を諦めてまで翠の傍にいてくれている。
このまま誰の夢も叶わないのか?
みんな伝説に翻弄されたままなのか?
翠と玲は幸せになれるのか?
最後まで読めば、大きな感動が待っています。
是非この美しい物語を読んで、翠と玲の行く末を見届けてください。
人には、生まれ出た瞬間から与えられた運命、もしくはそれを、『役割』なんて言葉で言い表すのやもしれませぬ。
しかし、イザ与えられたその役割を、どこまで忠実に演じ切れるか。
そこには耐え難いほどの我慢や、葛藤が、あるのやもしれません……。
「あなたの子孫は皇子が産まれることが少なくなるでしょう。ですがもし、皇子が産まれた時こそ、それはあなたが転生した姿であり、わたくしもまた、いづこかへと産まれているでしょう。わたくしを見つけられるかがあなたへの罰です。もしわたくしを見つけられたなら、私の身はあなた以外に触れさせますまい」
この国の女神の予言である。そして、本当にこの国に皇子は滅多に生まれなくなった。
生まれた時には国をあげて女神を探し出し、皇帝の嫁になるまでは、誰も触ることすら許されなくなった。
主人公が、「翠」から、「暎花」という名、もしくは……役名が与えられてから、
その袖を触れただけでも、重たい刑を課せられるのだ。
しかし翠が欲しかった人の温もりは、そんなものじゃなかった。
どうしても、どうしてもある人に、頭を撫でて欲しかった。それだけだったのに……。
主人公は、その人の夢まで奪い、つまり「役」を奪い、変えてしまう。そうすることでしか、そばに居られなかった。
この小さい翠の恋物語は、ただただ静かで、重い。
人に与えられた役割。それが責任に変わる時、どこまで人はそれを受け入れられるのか……。
お勧めいたします。
ご一読を!!
『繋がるさきのゆめ』は、読めば読むほど心が静かに揺れていく、とても美しい物語です。
導入からもう惹き込まれました。
迷子の少女・翠と、手を差し伸べる少年・玲。あの一瞬の出会いが、温かさと切なさを含んだ長い物語の起点になっている……その構図がまず見事です。
本作の魅力は、人物たちの想いの強さが丁寧に描かれていることだと思います。女神として祈りに生きることを強いられた翠、変わりゆく彼女の立場に寄り添いながらも距離を置くしかない玲、そして若くして国を背負う皇帝・槐。それぞれが誰かを大事に思うがゆえに選ぶ行動をしていて、どの感情もとても純粋で苦しくて、美しいんです。
物語の後半は特に圧巻で、胸が締めつけられる瞬間が何度も訪れます。
けれど悲壮さではなく、人の想いがどれほど強く、互いを動かす力になるのかを感じさせてくれる優しい切なさが漂っていて、読後感はとても温かいです。
ファンタジーとしての世界観も緻密で良質ですが、それ以上に、人と人がどう繋がり、どう別れ、どう前に進むのかという普遍的なテーマが物語の芯にあります。
静かな美しさと深い余韻を求める方には、ぜひ読んでほしい一作です!
この切ない感覚が、どうしようもなく胸を打ちます。
主人公の少女の名前は翠。彼女には、幼い頃から兄のように慕っていた玲という名前の少年がいた。
でも、翠には自由がなかった。彼女の住む国には伝承があり、『瑛花』という名前の女神がいずれ少女として転生してくると言われていた。
翠は体の特徴が伝承に出てくる内容と一致していたため、『瑛花の生まれ変わり』として祭り上げられることに。やがては皇帝である槐帝に嫁ぐことも決められていた。
誰一人として、翠を翠として見てくれない。女神の生まれ変わりとしか見ず、更には彼女に手を触れたら極刑に処されることまで決まっている。
そんな彼女の心の支えとなっていたのは、玲ただ一人だったのだが……。
一人の人間として生きることを許されず、強い閉塞感に晒される翠の辛さが全編を通して強く伝わってきます。
周りの人々も別に悪気はないけれど、ずっと言い伝えられてきたことだから誰も逆らうことができない。槐帝ですら翠を大事にしつつも、彼女に寄り添うことが出来ないでいる。
そして彼女たちが迎える結末。どうなってしまうのだろうと、読み進める中で激しく心を揺さぶられることになります。
悲しみや寂しさを抱えつつも強く生きようとする翠。その姿がとても鮮烈で、読み終えた後に「歴史」とか「運命」というものの存在を改めて考えさせられました。
両親に捨てられた貧しい少女、翠。手を差し伸べた玲によって、彼女は温かな新しい家族を手に入れた。
しかし、伝説の女神の生まれ変わりとして翠が皇帝に召されたことによりすべてが変わってしまう。商人になることが夢だった玲は翠に仕える神官長に。
女神の化身である翠に触れることのできるのは未来の夫である皇帝のみ。たとえ翠が玲に、昔のように優しい兄であることを望んでも許されない。
そんなある日、賊の放った矢から皇帝を庇った翠は傷をおってしまう。女神に触れたら極刑という掟の下、誰もが彼女に触れられない中、玲がとった行動は……。
翠、玲、そして皇帝。古の伝説に縛られた掟の中で、全員が相手を思いやる。その優しさに胸を打たれます。
優しき心の果ての恋の行方を是非見届けてください。