概要
上品なお嬢様口調のまま暴走する天然体質、踊りで鍛えた抜群の身体感覚、
そして民族衣装を“文化として着る”美意識の持ち主。
クルーズ船《アウローラ・グローバル》で出会ったのは、
船内講座を担当する歴史系講師・黒江真。
知性派で冷静な彼は、すみれの言動に振り回されながらも、
いつの間にかその魅力から目を離せなくなっていく。
台湾、ベトナム、そしてシンガポール――続いていく寄港地
寄港地ごとに出会う文化、衣装、料理。
アオザイ、チャイナ服、二十五時間の日。
旅は人を変えない。
ただ、隠れていた魅力があらわれるだけ。
世界を巡るクルーズ船で、
お嬢様と先生の距離が、ゆっくり、確実に縮まっていく
上品で軽やかな世界一周ラブコメディ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!世界との距離が、少しずつずれていく旅
世界一周クルーズという舞台のお話ですが、
読んでいて強く残ったのは、出来事そのものよりも
世界との距離感が、少しずつずれていく感覚でした。
大きな事件が起きるわけではないのに、
革の質感や足音を吸い込む絨毯、街の匂い、服の手触りといった描写を通して、
日常が一枚ずつ剥がれていくような感覚が、静かに積み重なっていきます。
「特別は、特別ですもの」という言葉が、この物語の空気をとてもよく表しているように思いました。
桐生すみれという主人公は、いわゆる“特別なお嬢様”なのに、
それを誇るでも、振りかざすでもなく、
文化や装いを自然に“生き方として”身につけている人として描かれているのが印象的で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界を巡った、その先で。
実際に世界一周旅行のエッセイを執筆している作者さんが、
自身の体験をもとに、テンポ良く構成した作品です。
潮の香りを含んだ海風を感じながら、
各地の料理を味わい、財閥令嬢・桐生すみれが
「先生」と静かな会話を重ねていく。
私は世界一周旅行をしたことはありませんが、
それでも各地で描かれる風景の中に、
「あ、これは……」と、
思わず頷いてしまう場面が、いくつもありました。
「旅は人を変えない」
というささやかなテーマが、旅の終わりにどう着地するのか。
旅のあとに残るものは何か。
大きな展開よりも、
旅の途中で交わされる言葉や空気感を楽しみたい人に、
おすすめしたい一作です。 - ★★★ Excellent!!!日常の中の非日常が最高に好きです
大桟橋、いい所ですね。以前は良くそこの小さな食堂でカレーを食べたりしました。今はもう無いのかな。
普段ある程度読み進めてからレビューさせていただくのですが、もう冒頭3話が好きすぎなので、かかせていただきます。
まず、桟橋から船、海上に舞台が移っていきますが、これが素晴らしい。
海上、揺れる客船はまさに日常の中の非日常。通年の吊り橋効果ともいうべきドキドキ感と、ゆるやかな日常感が同居する最高の舞台です。
海しかない一日。という開かれた中での閉鎖、冒険と非冒険の混在感が素晴らしいです。
1/11追記 ⭐️1個が投稿の際のデフォルトになってるんですね。今気付きました。むー?ちゃんと⭐️3つに直…続きを読む