恐怖だけで終わらない、軽快な怪奇譚

十九世紀イギリスの降霊術を題材にした物語——まるで翻訳されたヨーロッパ・ゴシックホラーを読んでいるような没入感でした。
しかし読み終わりは決してドロドロせず、むしろ不思議と爽やかな余韻が残る。その感覚がとても新鮮でした。

トム・トレンブル氏は本当に降霊術を行っていたのか。
そしてウォルターは、霊の望むとおりに怨念を晴らしたのか——。

一度読み終えたときに「え? どういうこと?」と立ち止まり、二度目でようやく“構造”が見え、三度目で深い納得に至る。
そんな緻密さと読み応えのある作品でした。

トム・トレンブルとウォルター、
この二人が幽霊怪奇の世界で活躍する物語を、これからも楽しみにしています!

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