震災・虐待・異界が交錯する痛みと救済の物語

「神に見捨てられた少女」を救うのは、神ではなく、

傷つきながらも足掻く人間たちだった。

物語は、阪神淡路大震災という逃れようのない現実の悲劇と、

そこから生まれた絶望が連鎖していく様を容赦なく描きます。

しかし、その暗闇の中で輝くのは、異能を持つ少女・剣奈や、

彼女を支える大人たちの「救いたい」という純粋で強靭な意志です。

この作品の凄みは、ファンタジー的な異能バトルと、

児童相談所や家庭裁判所といった「現実の制度」を武器にした戦いが見事に融合している点にあります。

キャラクターたちの会話は軽快で読みやすいのに、

その奥には重い現実が横たわっている。

この温度差が心を強く揺さぶります。

「救い」とは何か。

骨太な人間ドラマを求めている方に強くおすすめします!

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