主人公の山田緋色が異世界で転生した先はなんと、エルフの集落。そこで寿命も価値観の違う人々と暮らし、文化と魔法を学んだ。
相棒のフィオナと共に里と世界の危機を救うために、2人は冒険の旅に出る。
まず思うのが、これは読ませるための文章で書かれているってこと。
時には漫画のように分かりやすく、時には小説としての重さを持ち、画面全体を使って物語を表現している。
そして、世界が広い。それぞれのキャラクター、それぞれの価値観、それぞれの文化があって、それらが上手く調和していて、不自然さがない。
そこにもう一つ世界があるような、そんな気分にさせられる。
そして、キャラクターがそれぞれ魅力的で可愛い。エルフから始まり、旅先で出会ういろんな人たちとの交流がこの作品の魅力だ。
まるでオープンワールドのゲームをプレイしているかのような壮大な世界が君を待っている。
山田緋色──主人公の名前が作者名と同じ時点で、気付くべきでした。
これは、緋色牡丹先生の頭の中の物語です。
少し説明ったらしくて、面倒臭そうな文体で冒頭から無気力な言葉が並びます。
……ですが、それが嫌じゃない。
「読ませる文章」というより「引き摺られる文章」。
読者目線で、作品をどうこうしようとしていない。
脇目も振らずに「俺は、俺の文章を書く」──そんな熱い想いがひしひしと伝わってきます。
親指が引き摺られて、一気に画面を下までスクロールしていること請け合いです。
あまり、人様の作品にこういうのは良くないとは思いますが……敢えて言わせてください。
『第一話だけでも読んでみろ。
それで駄目なら、あなたに緋色ワールドへの入場資格は無い』
……愛崎まで熱を帯びてしまいました。
家庭に恵まれていないという厳しい環境を努力で乗り越え、仕事や伴侶を得たものの挫折を味わい、半ば心が折れてしまった三十二歳の主人公・山田緋色。
生きる意味を見失いかけた彼が「疲れたな」とインプレッサのハンドルを握りしめていると、突如異世界へと飛ばされます。FMラジオから流れる「最近よく人が消えているそうですよ!」という会話が印象的。
目覚めた先は幻想の森。そこでこの世界に住む少女、エルフのフィオナが登場。
ここから、彼女の天真爛漫さに惹かれました。
「人間!? はじめて見た!」と無邪気に興奮するフィオナ。
裸で近づいてきて「服を、服! 頼む! 着てくれ!!」と叫ぶ緋色の反応が面白い。あと服を着てないのが当たり前という世界にとばされたのだなと、読み手の私も妙に実感できました。
フィオナが「山田」と呼ぶのもなかなかいい。
そしてエルフの里「エバーウッド」の描写が素晴らしかったです!
巨大な樹の根元に段々と重なる家々、青白いキノコに空中に漂う光の粒。この世界の光景を思い浮かべるとワクワクします。挿絵として見たい!!
物語が進むと、樹の怪物・蛇樹羅との戦闘、ザンマという謎の剣士との出会い、そして悲劇的な少女シグリのエピソードが展開。
樹の怪物・蛇樹羅に取り込まれ、頭と胴だけになりながら土の上を這う少女シグリが墓地で「独りは、嫌だよ……」と泣き縋る姿は、怪物ではなく死を恐れるただの少女で胸を打たれました。
ザンマの刀が振り下ろされる寸前、緋色は「待ってください」と止め、少女の手を握り「お前は、一人じゃない」と告げるシーンは切々としていてとてもいい。
「一人であること」の悲しみをしる主人公が言ったからこそ深い意味のある言葉です。
他方、獣人のポーニャとクラリッサとの出会いなど、ふふっと笑えるシーンも。
緩急織り交ぜながら話が進み、あっという間に最新話まで読ませていただきました。作者さんの紡ぐ世界にどっぷりとはまれる一作です。
レビュー書いていいのか分からないですが、応援の気持ちでこっそり投稿します。
最初は王道の異世界転生かな?と思って読み始めました。
でも、王道だからこその安心感やワクワク感があって、そこがまた楽しいです。
1話が長めなのに、驚くほどスラスラ読めて、情景が自然と頭に浮かびます。
特にエルフとの掛け合いがすごく楽しくて、異文化ならではの価値観の違いや駆け引きが魅力的。ちょっとえっちなやり取りも良いスパイスになっていて、物語に緩急があり、全然飽きません。
設定もかなり作り込まれていそうなのに、説明が重くなくて、気づいたら理解できているのがすごいなと思いました。伏線も多そうで、先を読むのが楽しみです。
続きがとても気になる作品です。