山田緋色──主人公の名前が作者名と同じ時点で、気付くべきでした。
これは、緋色牡丹先生の頭の中の物語です。
少し説明ったらしくて、面倒臭そうな文体で冒頭から無気力な言葉が並びます。
……ですが、それが嫌じゃない。
「読ませる文章」というより「引き摺られる文章」。
読者目線で、作品をどうこうしようとしていない。
脇目も振らずに「俺は、俺の文章を書く」──そんな熱い想いがひしひしと伝わってきます。
親指が引き摺られて、一気に画面を下までスクロールしていること請け合いです。
あまり、人様の作品にこういうのは良くないとは思いますが……敢えて言わせてください。
『第一話だけでも読んでみろ。
それで駄目なら、あなたに緋色ワールドへの入場資格は無い』
……愛崎まで熱を帯びてしまいました。
家庭に恵まれていないという厳しい環境を努力で乗り越え、仕事や伴侶を得たものの挫折を味わい、半ば心が折れてしまった三十二歳の主人公・山田緋色。
生きる意味を見失いかけた彼が「疲れたな」とインプレッサのハンドルを握りしめていると、突如異世界へと飛ばされます。FMラジオから流れる「最近よく人が消えているそうですよ!」という会話が印象的。
目覚めた先は幻想の森。そこでこの世界に住む少女、エルフのフィオナが登場。
ここから、彼女の天真爛漫さに惹かれました。
「人間!? はじめて見た!」と無邪気に興奮するフィオナ。
裸で近づいてきて「服を、服! 頼む! 着てくれ!!」と叫ぶ緋色の反応が面白い。あと服を着てないのが当たり前という世界にとばされたのだなと、読み手の私も妙に実感できました。
フィオナが「山田」と呼ぶのもなかなかいい。
そしてエルフの里「エバーウッド」の描写が素晴らしかったです!
巨大な樹の根元に段々と重なる家々、青白いキノコに空中に漂う光の粒。この世界の光景を思い浮かべるとワクワクします。挿絵として見たい!!
物語が進むと、樹の怪物・蛇樹羅との戦闘、ザンマという謎の剣士との出会い、そして悲劇的な少女シグリのエピソードが展開。
樹の怪物・蛇樹羅に取り込まれ、頭と胴だけになりながら土の上を這う少女シグリが墓地で「独りは、嫌だよ……」と泣き縋る姿は、怪物ではなく死を恐れるただの少女で胸を打たれました。
ザンマの刀が振り下ろされる寸前、緋色は「待ってください」と止め、少女の手を握り「お前は、一人じゃない」と告げるシーンは切々としていてとてもいい。
「一人であること」の悲しみをしる主人公が言ったからこそ深い意味のある言葉です。
他方、獣人のポーニャとクラリッサとの出会いなど、ふふっと笑えるシーンも。
緩急織り交ぜながら話が進み、あっという間に最新話まで読ませていただきました。作者さんの紡ぐ世界にどっぷりとはまれる一作です。
レビュー書いていいのか分からないですが、応援の気持ちでこっそり投稿します。
最初は王道の異世界転生かな?と思って読み始めました。
でも、王道だからこその安心感やワクワク感があって、そこがまた楽しいです。
1話が長めなのに、驚くほどスラスラ読めて、情景が自然と頭に浮かびます。
特にエルフとの掛け合いがすごく楽しくて、異文化ならではの価値観の違いや駆け引きが魅力的。ちょっとえっちなやり取りも良いスパイスになっていて、物語に緩急があり、全然飽きません。
設定もかなり作り込まれていそうなのに、説明が重くなくて、気づいたら理解できているのがすごいなと思いました。伏線も多そうで、先を読むのが楽しみです。
続きがとても気になる作品です。
エルフの里の表現や設定、世界観が緻密に練られており、没入感のある作品です!
冒頭で語られる主人公のなかなかに重い人生の振り返りから一転してエルフの里へ…
程よく緩さと笑いを取り込みつつも情景の浮かぶ程良い描写、キャラクター同士の会話のテンポの良さ…とてもバランスが良く読みやすいので是非一読してみることをオススメします!
それぞれのキャラクターもしっかり立っており、魅力的。きっと推しキャラが見つかることでしょう!!
進むに連れ、チラリと見える主人公の闇の部分や、エルフの里の謎など…気になる伏線が増え、より面白くなって行きます!