事務が、日常が、異星交流が。ゆっくり恋に変わっていく。
- ★★★ Excellent!!!
火星人が同僚という突飛な設定を、総務の事務リアリティで本当にあり得そうに着地させていて、導入から一気に引き込まれました。
9,000万kmという距離はネタではなく、ちゃんと二人の間の壁として息をしている。その壁を、雪花の細やかな気遣いと、マークの誠実さが少しずつ埋めていく——この距離感の描き方がとにかく丁寧で上手いです。
特に好きなのは、恋がイベントで起きるのではなく、仕事や会話の積み重ねの中で、本人たちの中に静かに芽生えていくところ。
守りたい、信じたいが、ある瞬間ふっと自覚に変わる、その刹那が毎回きれいで、胸に残ります。
そして各話冒頭の一文が洒落ていて、空気を一瞬で変えるのも最高。
完結まで一気読みして、温かい余韻にしばらく浸っていました。
真面目に働く人の恋が好きな方/派手な事件より距離が縮まる過程に弱い方/優しいSFや異文化交流ものが刺さる方——これ、絶対好きです。
読んだあと世界がちょっとだけ優しく見える、そんな一作です!